最終盤を迎えた2023年度の岩手県の秋サケ漁は過去最低の水揚げで漁期を終えることが確定的となった。県の漁獲速報(10日現在)によると、海と河川を合わせた回帰実績は4万4千尾、130トンで、過去最低水準だった前年同期に比べて尾数で74%減、重量で70%減。19~21年度の稚魚放流は不調に終わっており、来季も厳しい漁模様が続くとみられる。
東京都・豊洲市場の東北産ムール貝消流は固定客を持つ仲卸業者が定番で仕入れている。ただ、以前ほど安定した入荷が望めず、仲卸業者は頭を悩ませている。
卸値は青森県産や宮城県産がキロ800円ほど。「数量が多い年は宮城県産で400円の場合もあったが、最近は現在の価格で安定している」と説明。引き合いは「入荷すれば必ず買っていく客はいる。また、新規客には青森産は身入りが良いと説明している」と拡販に努めている。
全漁連は15日、農林水産省に対し能登半島地震の復興に関する緊急要請を行い、森健水産庁長官に要請書を手渡した。坂本雅信会長は「水産庁を挙げて支援していただいたことに感謝申し上げる」とした上で「漁村、漁港、漁港設備、漁船などの被害が能登半島中心に起きている。漁業者の生活の再建と漁業の生業復興に向け、長期間にわたる息の長い対策が必要になると思われるが、よろしくお願いしたい」と要請した。
海上保安庁は17日、2023年の海上犯罪取り締まり状況(速報値)を発表した。全体の送致件数は前年比133件減の7190件、送致人員は86人減の4693人。その中でも漁業関係法令違反の送致件数は、3年連続の増加となり、各種法令別送致件数の中で最も多くの割合を占めている。
ホタテ加工大手の株式会社マルイチ横浜(青森県野辺地町、横濵充俊社長)が、新たな収益の柱の育成を急ピッチで進めている。昨年11月、定塩加工技術に定評がある8株式会社ヤマヨ(八戸市、藤田和弘社長)と業務提携契約を締結。国内で近年、生産量が急増している養殖サーモンの調達を強化する方針だ。両社と、マルイチ横浜のグループ会社を合わせた来期の売上高は150億円に達する見込み。天然資源の減少や、中国による日本産水産物の全面禁輸の影響を受ける中、互いの強みを共有することで現状を打破し、会社の持続的発展につなげる。
平日はオフィス街、週末はイベント会場といった人が集まる場所に出向いて消費者と近い距離でサービスを提供できるキッチンカーが、水産業界でも魚食拡大の新たな販売手法としてビジネスチャンスを広げている。Googleトレンドによるとコロナ禍だった2020年以降「キッチンカー」のウェブ検索数が伸長するなど消費者側の注目度も上昇。事業者は新規顧客層の開拓、商品開発のヒントなど、キッチンカー販売ならではの効果を上げている。
昨年11月に行った青森県陸奥湾の2023年度秋季実態調査によると、今年の半成貝や新貝に向ける稚貝(23年産)のへい死率は、分散前の未分散稚貝が全湾平均52.5%と深刻な状況にあることが示された。最もへい死した10年度の66.6%に次ぐ高さ。保有枚数は8億7404万枚で、過去10年平均15億4千万枚と比較し43%減少した。親貝の保有枚数も7115万枚と少なく、目安となる1億4千万枚の49%減と半減している。
南かやべ漁協の木直・尾札部両地区が主力の2年養殖は近年、生育不良が続いている。今季も総体的に状況は芳しくなく、現在種コンブの養成綱への挟み込み(株分け)を進める木直地区の着業者は「昨年よりも状況は悪く今夏も減産になるだろう」と見込む。
留萌市の株式会社ヤマニ野口水産(小野寺正司社長、電話0164・42・1127)は、北海道産水産素材で新感覚の菓子を相次いで打ち出している。秋サケの塩とばを使ったせんべいと、マダラの身肉のみで仕立てたクッキーの2品。乾珍味など主力製品の加工副産物も有効活用。今年から土産品需要を中心に拡販を本格化していく。
一般社団法人北海道水産会(阿部国雄会長)主催の「新年の集い」が9日、札幌市のホテルガーデンパレス札幌で4年ぶりに開かれた。道水産林務部幹部、系統・関係団体の役員らが出席。昨年の全国豊かな海づくり大会北海道大会の盛会、中国の輸入規制措置に伴うホタテなど道産水産物に対する国内の応援消費などを弾みに、新年も北海道水産業の発展に一致団結していくことを誓い合った。