漁獲から加工・販売まで手掛けるせたな町の有限会社マーレ旭丸(西田たかお社長、電話0137・87・3455)は、日本海で厳寒期に水揚げするアカシマエビの風味を閉じ込めた食べるラー油の新バーション「北海道えごま油と焙煎海老 漁師のラー油」=写真右=を打ち出した。先発商品に使用のごま油に北海道産のえごま油と米油も加え、より健康志向に訴求。オンラインショップや出店する全国各地の物産展などで売り込んでいる。
岩手県の2022年度アワビ漁が終了した。県漁連の共販実績によると、1号品の水揚量は前年比37.8%増の111トンで、金額は同85.9%増の15億1861万円、10キロ当たりの平均単価は同34.9%高の13万6861円。漁期後半は天候が回復して出漁回数も増え、近年では恵まれた漁場環境による身入りの回復が価格を押し上げた。
新潟県佐渡市で、地元の民間企業がナマコ種苗(稚ナマコ)の量産に乗り出した。2月ごろにまず35万個の出荷を目指す。ナマコは中国での高い需要を背景に近年価格が高騰しており、市は大型個体の放流により資源量の回復を図るとともに、漁業者の収入安定化にもつなげたい考えだ。
北海道産のマダラは全道的に好漁が続き、今季も浜値が軟調に推移している。年明け以降は日本海側で稚内、小樽の底引、礼文島や後志管内の刺網などが増産。刺網着業者からは「価格が潰れて経営的には厳しい」と嘆く声も聞かれる。一方で、大手の工場稼働維持を含む底堅い加工原料需要を受け、流通業者は生鮮相場の大幅な値崩れ回避を見通す。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)が操業する野付尾岱沼共同海区の2023年計画は1万500トンとなった。前年実績比4割減と大幅な減産見通し。空貝が目立つ場所があり、同漁協市場では「限定はできないが赤潮の影響以外に考えられない少なさ」と困惑している。このため操業を1カ月短縮し4月で終漁する予定だ。
道総研釧路水産試験場は、計量魚群探知機を用いた音響計測手法で大型海藻類の判別・繁茂状況を調べる技術開発に取り組んでいる。浜中・落石両地区で実施。音響反応に加え潜水や水中カメラによる実測値も収集し基礎データを蓄積。計測の精度向上を図り、コンブ群落の分布マップを作成し可視化することで、将来的に資源状況の把握や雑海藻駆除の効率化が期待できる。
東京都・豊洲市場の道東産活ホタテの消流は品薄で高騰している。荷受担当者は「昨年同時期には1箱3千~2千円だった卸値が今は4400円ほどとかなり高い」と説明。集荷に苦戦しており、別の荷受担当者は「産地の加工場が人手不足で輸出商材の生産でやっとの状況。荷主に注文をかけているが、昨年から商材を供給してもらえていない」と肩を落とす。
底建網に新規着業し、今年で3年目に入る砂原漁協の坂本晃太さんは、2022年から産地直送アプリの「ポケットマルシェ(ポケマル)」を活用し、活じめ処理を施した新鮮な魚介類の提供に力を入れている。その都度獲れる魚を厳選し購入者の要望に沿った下処理にも努め、すでに複数のリピーターを獲得。発送作業は市場出荷後に行うが「慌ただしさはあっても何より楽しい。やりがいがある」と語る。
十勝総合振興局産業振興部水産課は親魚捕獲の要所・十勝川をはじめ管内での秋サケ密漁取締で、今年度からドローンを活用した取締手法の確立に乗り出している。昨年の河川そ上期に初めて試験導入。密漁容疑者2人の検挙に至った成果を受け、来年度以降も試行を継続していく。
全漁連やNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)らは、水産物の参加型ライブコマースに関する実証販売を開始する。ライブ配信プラットフォームを活用するもので、実際に足を運ばずとも、あたかも産地魚市場で生産者と対話しながらの買い物が可能となる。水産物の新たな販売方法として事業化を目指し、検証を進めていく。水揚げされた新鮮な水産物の魅力を参加型のライブ配信で紹介し、配信後にはECサイトで販売して視聴者に届ける。システムはNTT Comによる低遅延ライブ配信プラットフォーム「Smart vLive」を活用。チャット機能が付いた配信システムとなっている。