三陸の今季イサダ(ツノナシオキアミ)漁が始まった。海況に比較的恵まれ、岩手、宮城両県とも過去2年の記録的不漁からの脱出へ期待が持てるスタートを切ったが、魚影の薄さが指摘されるなど先行きは不透明。浜値はキロ60円台と、高騰した昨季に比べ大幅に下落しているものの、例年より高い水準だ。
遠別漁協のホタテ養殖船「丸中丸」(11トン、FPR)が竣工し、このほど母港・遠別漁港でその雄姿を披露した。先代船より容積量が拡大し、エンジンやサイドスラスターがパワーアップ。作業性や安全性が格段に向上した。同漁協理事で㈲丸中漁業の疊議博代表は「バランスが非常にいい。理想以上の船に仕上がった」と大満足。4月の稚貝出荷から本格稼働する。
1月11日の余市郡漁協を皮切りに始まった後志北部以北の日本海沿岸ニシンは、2月中旬以降増産基調を示すなど順調な水揚げペースで推移している。一方、例年通りオスの荷動きが鈍いものの、コンテナ不足などで北米・カナダ産の搬入に不安定感を懸念する加工筋が数の子製品の原料手当てを強化。流通関係者は「卵の抜け具合など魚体の状態にもよるが、メスの価格が大きく下落することはないだろう」と見通す。
総務省の全国家計調査によると、昨年1年間で1世帯(2人以上)当たりが購入したホタテの平均数量は、前年比2%減の560グラムとなり、4年ぶりに減少へ転じた。海外需要の高まりで価格が上昇し、国内消費が伸び悩んだため。100グラム平均価格は220円となり同2%高となった。
道南本場折浜の促成マコンブは、地区によって生育状況にばらつきがある。現在間引きに加えシケで絡んだコンブをほどくなど各作業を進めており、それらが終了した後は施設の横張りに移行、成長促進を図る。
札幌市の水産物卸・株式会社フジウロコ大橋水産(大橋誠一社長、電話011・709・1221)は、干物を皮切りに加工品の製造販売を強化している。基盤にGSK株式会社(大阪市)の特殊冷風乾燥機を導入。併せてコロナ禍を受けた業容安定に向け、催事販売や自動販売機の設置などで小売りに乗り出している。納入先や購入客の評判も上々で、今後、増産体制を整え攻勢をかけていく。
札幌市中央卸売市場の荷受・髙橋水産株式会社(髙橋清一郎社長)を中核とするカネシメホールディングスグループは4月1日付で新会社「サポート北海道株式会社」(同)を設立するなど組織改編を行う。新会社は水産業・水産加工業の人手不足・後継者不足の解消に一翼を担うのが目的。生産現場での作業(選別・加工など)の請け負い、市場流通現場での荷降ろし・場内配送、生鮮食料品の1次・2次加工を行う。
大田市場の仲卸・株式会社ハルキ(電話03・5755・9413)は、関東以西と以北へ北海道産の商材を提供している。函館市の本社(株式会社春木商店)と連携し、高鮮度と卸価格の圧縮でリード。同社と取り引きがある東京都の飲食店「北海道海鮮市場がんがん」の三上徹朗さんは「他店と差別化できる商材が多い」と強調する。
宗谷漁協(奈良満組合長、316人)の2021年販売取扱高は、前年比64%増の112億2366万円(税抜き)。19年の118億2100万円に次ぐ2番目の好実績となった。単価高のホタテやタコ、サケなどがけん引した。
海上保安庁は2021年の海洋汚染状況をまとめた。海洋汚染確認件数は前年から40件増加し、過去10年間で最多となる493件。3年連続で前年に比べ増加で推移している。油排出の主な原因は、作業中の取扱不注意によるもの。また廃棄物では不法投棄など人為的なものもあるため、同庁では警鐘を鳴らしている。