陸奥湾ホタテ加工最大手の株式会社マルイチ横浜(青森県野辺地町、横濱充俊社長)が、グループ会社全体の売り上げを大きく伸ばしている。資本業務提携を締結した株式会社八戸フーズ(八戸市)に冷却殺菌海水を供給することで、魚類のすしだねなどホタテ以外の販売が急拡大。今期の年商は90億円まで増え、来期は100億円に達する見通しだ。
コミュニケーション・リンク株式会社(仙台市若林区、山本邦雄社長)は、有害物質を含むため多額の費用をかけ廃棄されてきたホタテの中腸腺(ウロ)から有用成分のエキスを抽出できる高圧熱水処理装置「MPシリーズ」の本格販売を開始した。液体状の抽出エキスは養殖魚の餌食いを活性化するグリシンなどが豊富。水産加工残さを資源化することで、廃棄コストの削減や新たなビジネスの創出も期待される。
カニの主力商材・タラバとズワイをめぐる消流は、ロシア産の輸入環境の変化や品薄高値の市況下で仕入れた昨シーズン産の在庫消化を優先する動きなどが複雑に絡み合い不透明感が増している。ここ2年ほど国内需要の伸長でズワイ、タラバの国際市況をけん引した米国は、ロシアのウクライナ侵攻を契機にロシア産を禁輸。船凍ボイル品の一大仕向け先の喪失で、今シーズン産の先安観が広がり、昨年仕入れた在庫の「投げ売り」も散見されている。水産商社や加工業者は「早期に在庫を消化し、マーケットを安定化させたい」などと吐露する。
オホーツク海沿岸の11月末水揚量は、前年同期比2%減の32万1562トン。同月後半に枝幸、雄武、沙留、紋別、網走漁協が操業を終え、湧別、佐呂間、常呂を除く9単協が終漁した。紋別は4万トンを超え過去2番目の水揚げ、雄武は2万2千トン台に伸ばし過去最高。常呂も4万トンを超えた。
東京都・豊洲市場の北海道産いくら消流は、相場が昨年並みに落ち着き、飲食店などの引き合いが回復してきている。漁期途中までは高騰し、海外産マス子の代用や仕入れ量の抑制などで需要は低調に推移。仲卸業者は「末端が扱える価格で提供できる」と安どの表情を見せる。仲卸業者によると、11月7日に卸値が下落。「それまでは昨年より15%は高く、20%高の場面もあった。その上昇分が解消され、例えば、しょうゆは最高値のキロ1万4千円から今は9300円。塩は1万2千~1万1千円で推移していたのが1万円に落ち着いた」と話す。
道南白口浜の一部で、養成綱に挟み込んだ促成種苗が損傷したり抜け落ちる被害が今年も発生している。被害が目立つ川汲地区ではホッケなどの食害が要因とみており、種を差し直して回復を図る着業者もいる。また、雑海藻が養成綱などに大量に付着し種苗の生育が芳しくない場所もある。
函館市漁協の函館サーモン養殖部会は11月下旬、トラウトサーモン(ニジマス)のブランド「函館サーモン」2期目の海面養殖を函館漁港で開始した。港内に設置したいけす3基に合計5千尾の幼魚を投入、2023年5月下旬から7月上旬の期間で約15トンの水揚げを目指す。
標津の若手漁師で組織する標津波心会(林強徳代表)は、活じめなど丁寧な扱いや加工品の製造など創意工夫を通じ、前浜での持続的な漁業を確立しようと日々奮闘する。2018年の活動開始以降、鮮魚店や飲食店などの評価と信頼を獲得。来年には波心会メンバーが共同で底建網を実施、スケソやコマイなどの商品化を目指す。
噴火湾のエビかごは、春漁に続き秋漁も不振を極め終漁した。好漁場が湾中央部の一角に限られ、着業した砂原・森・落部漁協の40~50隻のうち、低水準ながらも数量がまとまったのは10隻程度だった。
秋のボタンエビ漁は9月1日~11月10日。序盤から低調な水揚げで始まり、混獲のオオズワイガニに頼らざるを得ない着業者が大半を占めた。
毛ガニは北海道産が依然2千トン割れの供給水準ながら2年連続の増産となっている。浜値は増枠の主産地・オホーツク海が前年比1割安。一方、消流は一部サイズで昨年産の在庫を抱え、冷凍品の荷動きが低調。タラバ、ズワイの下落が波及し、相場も不透明感が漂っており、年末需要期の消費動向が行方を握っている。