岩手県釜石市と岩手大、地元漁協や水産会社などは10日、海面養殖の実証試験で育てているサクラマス(地域名ママス)を初めて水揚げした。近年不漁が続く秋サケなどに代わる資源として市場への安定供給を目指す産学官連携プロジェクト。市魚市場に2.2トンが出荷され、入札で最高値はキロ1200円となった。県内ではギンザケやトラウトサーモンの試験養殖が相次いでいるが、三陸で古くから親しまれている国産種で独自性を打ち出し競争力強化につなげる。
紋別市のマルカイチ水産株式会社(片山裕一社長、電話0158・24・1234)は3月に総工費約8億円をかけ既存工場を増改築の上、ホタテ自動貝むき機「オートシェラー」(株式会社ニッコー製)を2台増設した。4月のテスト期間を経て5月の連休明けから3台態勢による本格稼働を開始。5月28日には報道関係者に公開、オホーツク産ホタテの品質向上に自信を示した。
母船式捕鯨を行う民間企業・共同船舶株式会社は捕鯨母船の新造計画を進めている。乗組員の安全と操業の効率化を図るため。今年で船齢33年になる日新丸(8145トン)の代船になる。加工設備を最新鋭化させた世界で唯一・最大の商業捕鯨母船が誕生する。
道東のコンブシーズン到来を告げるさお前コンブ漁が始まった。歯舞、根室、落石の根室管内3漁協が操業する貝殻は、漁模様こそ船間差が大きいが生育は良好。「さお前としては最高の質」との声もある。釧路管内では釧路市東部漁協が先行して始まり、繁茂・生育はばらつきがある模様。道水産物検査協会の格付実績によると昨年のさお前は両管内とも伸び悩んだだけに、今季の順調操業と増産に期待がかかる。
噴火湾の2020年度(10~5月)加工貝(2年貝)水揚げが終漁した。7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾漁協)の累計数量(速報値)は4万7920トン。昨季実績比38%増と一定程度回復した。浜値は中国向け冷凍両貝の引き合いが強まり、終盤にはキロ300円台前半まで上昇した。
余市郡漁協や余市町などで構成する余市ムールガイ養殖研究協議会(会長・篠谷誠同漁協組合長)の今季水揚げが5月11日で終了した。余市港内で養殖するムールガイの身入りが芳しくなく、殻長4センチ以上が対象の製品出荷が1.1トンと前年を400キロ下回った。一方でコロナ禍にもかかわらず、品質の高さなどが評価を得て、東京や札幌の飲食店などからの引き合いが堅調。同漁協の担当者は「出荷分を全て販売できた」と振り返る。
釧路市東部漁協の若手漁業者らでつくる「鮮魚チーム」のブランド「CLASSIC FISH」が2年目を迎えた。かごで漁獲したアイナメを中心に良型を厳選し餌吐き、神経じめや放血、内臓除去を施し鮮度保持効果のある窒素氷で荷造りしたもの。今季は第三十八昭盛丸が先行して操業しマダラ主体に出荷。価格は野じめを大きく上回り、コロナ禍でも極端な下落はなく堅調に推移している。
えりも漁協冬島地区ウニ部会(岡部司志部会長、40軒)は、浜中式の養殖かごを使用し、バフンウニの蓄養試験に着手した。前浜から採取、給餌で身入りを向上させ、需要期に出荷し、収入の安定を目指す。昨年11月に投入し、今年2月に出荷した初回の成果に手応えを得て、今年はかごの増設を計画している。
5月に始まった枝幸漁協のタコいさり漁が苦戦を強いられている。日量300キロ以上の着業者も見られるが大半が100~200キロ台と昨年から半減。サイズは1尾平均6キロ前後で、同漁協市場では「型は良くなってきた」と説明する。一方浜値はキロ800円程度と高値基調。ただ着業者は「漁が薄くカバーできない」と残念がる。
水産庁は4日、昨年度の水産の動向と今年度の水産施策が閣議決定されたのに伴い、2020年度の水産白書を公表した。今回の特集テーマは「マーケットインの発想で水産業の成長産業化を目指す」。各節では、国内外のマーケット状況や生産者による先行事例、行政による方向性、促進施策などについて詳しく紹介している。