オホーツク沿岸の水揚げが30万トンを超えた昨年は、主力の玉冷生産を中心におおむね順調に消化された。玉冷は内販、輸出とも道漁連が示す計画通りの需要が見込まれ、特に回転ずしは幅広いサイズを消費。輸出は中国、東南アジアが堅調で計画を上回る可能性もありそう。3月の期末在庫は「重くならない」と、関係者は口をそろえる。
女性の力で浜に活気を―。道信漁連(深山和彦会長)が漁協女性部の部員増を後押ししている。本年度から2021年度まで女性部加入促進事業を推進。株式会社セコマとの連携で電子マネー機能付き道女性連会員証を発行したほか、各浜の加工品販売を札幌で実施するなどの施策を展開している。
道総研函館水産試験場は、浜と連携しガゴメの促成養殖試験に取り組んでいる。2019年度は種苗センターを利用した成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)と事業規模での採苗が可能となり、約8000メートル分の種苗を生産した。また、昨年夏の収穫ではえさん漁協日浦地区で品質的に良好な結果が得られるなど着実に前進。新たに戸井漁協の2地区も加わり、夏の収穫に向け養殖試験を進めている。
平成以降最低だった2017年並みの来遊不振に陥った昨年(19年)の北海道の秋サケ。4年魚で回帰した15年級が不漁年級の様相を呈し、主群の5年魚となる来期も低来遊が懸念される。一方、3年魚の16年級は全道的に多めの来遊数を示し、来期4年魚での回帰動向が注目される。
北海道のカキは、身入りが良く生産量が増えたサロマ湖産のむき身に加え、安定した数量を出荷している道東の殻付きを中心に、道内の量販店や飲食店の引き合いは例年並みで推移している。1年むき身の出荷量は昨年より多く浜値は弱含みの傾向。昨年11~12月の最盛期にはキロ1000円割れとなったが12月後半には1000円台前半まで持ち直しており、着業者は今後の観光客需要などに期待を寄せている。
生産地と結び付きの強い農林水産物の名称を品質とともに登録する地理的表示(GI)や、地域ブランドの名称を商標権として登録する地域団体商標の申請・出願が北海道でも増えてきた。最近では西網走漁協がGIに「網走湖産しじみ貝」、枝幸漁協と枝幸水産加工協が地域団体商標に「枝幸ほたて」の登録を目指している。
北海道を代表する保存食である新巻鮭。江戸時代から続く伝統食品で、お歳暮の贈答品になくてはならない。そんな新巻鮭を水産加工場から消費地まで運ぶ際に活躍するのが鮭箱。木箱が主流だったが、価格面などで勝る発泡スチロールに主役の座を譲って久しい。一方で木箱の風合いや印刷された書体のカッコ良さに魅せられ、家具や雑貨、楽器として新たな魂を吹き込むのが職人ユニット「ARAMAKI」だ。
函館空港ビルデング株式会社は、地域振興・発展に貢献することを経営ビジョンに掲げ、道南産水産物の魅力発信に注力している。空港内の土産店では、地元漁業者や加工メーカーがつくる各種水産品を積極販売するほか、がごめ昆布を使った自社製品も展開する。直営レストランでは昆布やマグロを取り入れたメニューが並ぶ。また、近年世界的に深刻化が指摘される「海洋プラスチック問題」を受け、紙製のストローに切り替えたりパネル展を開くなど「脱プラ」にも取り組む。
「資源管理の必要性を感じているものの、まず何をしていいのかわからない」。そう感じている漁業者も少なくない。最初から完璧な目標を目指すのではなく、まずはできることからみんなで少しずつ始める―。そうした性質から、やる気に満ちた漁業者の背中を後押しする「漁業改善プロジェクト(FIP)」「養殖漁業改善プロジェクト(AIP)」が注目されている。