甚大な被害から復旧・復興を急ぐ東日本大震災の被災地。その再起に向けた取り組みを支えようと、自社の強みを生かした商品を通して貢献する企業が全国各地にある。水産日本再生へ向け、関連業界全体を挙げた闘いが始まっている。
プラスチック総合メーカーのアコス工業(株)(東京、電話03・5820・2911)は、水産向けFRP製品の増産を計画。同社は、主に工業用品の製造で優れた技術力が評価されているが、震災という非常時に素早く反応し、水産関係品の製造を拡大させる意向だ。
食品加工分野では、加工機器製造・販売の(株)菱豊フリーズシステムズ(奈良市、電話0742・36・9056)が提案する「復興水産加工場」が注目されている。ユニットを連結して組み立てる仕組み。断熱パネルや空調機器、同社のプロトン凍結機など各種機器がセットされ、短期工事で即稼働が可能だ。自在な組み合わせにより、原魚搬入から加工、出荷までの機能的なスペースを確保できる。
倉庫や物流施設の設置では、川田工業(株)(本社・富山/東京、電話0120・664・106)のシステム建築が復興支援に名乗りを上げている。
津波の脅威から命を守る施設として注目を集めているのが、「タスカルタワー」。防災・環境設備開発施工のフジワラ産業(株)(大阪市、電話06・6586・3388)が提案する施設で、津波発生時に避難できるタワーだ。
※記事の詳細は週刊水産新聞紙面をご覧ください。
(2012年01月01日付)
肌を突き刺す冷たい風が吹く、師走の厚岸湖。先人達が築き上げてきた湖内漁業の歴史が津波によって一瞬で奪われた〝あの日〟から9カ月。太陽から降り注ぐ朝日は、雲に遮られることなく湖で働く漁師を照らしていた。アサリ漁場の復旧やカキの水揚げ。湖内は再生のステップを着実に歩んでいる。
「為せば成るとはこのことだ」。厚岸漁協の上野清司さん(75)は、砂で形作られた小島に立ち、前を向いた。
砂の小島は湖内に点在する。その数、526個。浜ではそれを「アサリ島」と呼ぶ。何十年もの間、各漁業者が島を整備。砂山の中に生息するようになったアサリを漁獲している。
上野さんの島の広さは他の島と同様900坪。手塩に掛けて築き上げてきた島は、アサリが豊富で、毎年の漁獲シーズンが待ち遠しかった。
しかし、大津波のあの日、自慢の島はたった1日で姿を変えた。砂が流出し、地盤が見えるほどに。島の3分の2がアサリもろとも流されていた。その光景を前に、上野さんは立ち尽くした。
※記事の詳細は週刊水産新聞紙面をご覧ください。
(2012年01月01日付)
歴史に深く刻まれる未曾有の年が明けた。漁船2万5千隻、荷捌き所や養殖施設など1700施設…。水産業に想像を絶する被害をもたらした東日本大震災。復興の道程はまだ長い。それでも北海道、三陸の浜は、生活のため、家族のため、そして水産業の未来のため、前を見つめる。「再起へ」。その言葉を胸に歩みを続ける被災地の今を追った。
三陸のワカメが「2年ぶりの春」を迎えようとしている。
被災地に雪が幾度か舞った昨年末、岩手県南部の綾里漁協では、種苗糸の巻き込みを終えていた。
「例年と同様の綾里ワカメを出せる。品質面でマイナス要因はない」
同漁協の佐々木靖男組合長は、今春の収穫に手応えを示す。例年の7割の生産をめざし、7割近い養殖施設を張り込んだ。
ワカメは養殖期間が短く、秋に種を巻き込めば、翌年の早春から水揚げできる。同様に施設が壊滅したカキやホタテなどより収穫期が早く訪れるため、養殖復興の先陣役として期待が掛かる。
3・11のあの日、岩手、宮城両県ではワカメの漁期入り間もなかった。例年より生育が遅れ、収穫を失った浜が多い。震災から1年が経つ今年の春は、被災地の養殖ワカメにとって2年ぶりの収穫期となる。
※記事の詳細は週刊水産新聞紙面をご覧ください。