東京都・豊洲市場の北海道産シシャモ消流は品薄高値から需要の落ち込みが懸念されている。生鮮・干物の両製品とも仲卸業者らは荷受からの卸値を「社外秘」とするものの、利幅の狭い販売価格で展開。生鮮の広尾産のオスをキロ5千円で販売している仲卸業者は「顧客に現状より安くなる見込みはないことを伝えても漁が上向くことを期待して買い控えている。結局は希望通りの相場にならず買うのを断念するだろう」と悲観的な展望を話す。
帯広地方卸売市場株式会社(高嶋昌宏社長)は昨年から手掛ける水産加工事業で取引先や地元事業者の加工・処理業務をサポートしている。人手不足の問題を抱えるホテルなど業務筋、量販店などから依頼も徐々に増加。卸業務の維持・拡大にとどまらず、引き続き、利便性の高い市場づくりの一環で買受人などとの共存共栄のメリットを見いだしていく。加工機能を備えることで、市場に入荷した鮮魚などの付加価値販売を強化。併せて量販店のバックヤード、ホテルや居酒屋など外食産業のセントラルキッチン的な役割を担う加工業務に乗り出した。
東京都・豊洲市場で東北産活じめヒラマサに白身需要が出ている。ヒラマサは生物学上赤身魚に分類されるが、上品な白い身を持つため、白身魚の生食商材として活用される場合がある。今季は白身魚定番のヒラメが高騰し、秋に入りスズキの身質が低下。マダイは弔事などには使えないため、澄んだ白さをキープできるヒラマサに需要がシフトしている。
アンリツ株式会社はエックス線検査機にAI判定を加えた機能を提案している。AI判定機能は、製品厚みや形状、重なりなどに対して、大量の正常品、不良品のパターンを学習することで、検出精度を向上させている。誤検出率も低減し、生産ラインのさらなる歩留まり向上につなげる。異物のほか、個数の過不足や形状不良、シール部のかみこみなどの不良も見つけ出すことが可能となり、複合検査機としての利用を推奨している。
宮城、山形両県で製造されている食品を売り込む「おいしい山形・食材王国みやぎビジネス商談会」が17日、山形市のホテルで開かれた。水産加工会社など87社が出展し、地元の食材や工夫を凝らして開発した自慢の商品を首都圏や関西などの仕入れ企業65社にアピールし、販路開拓・拡大につなげた。両県と株式会社山形銀行、株式会社七十七銀行などでつくる実行委が主催。出展者のブースをバイヤーが自由に回る展示商談と、両者を事前にマッチングした約420件の個別商談を実施した。出展された新商品を対象とした「新商品アワード」のバイヤー投票も行われ、結果は12月に発表される。
東京・豊洲市場でひだか漁協の活じめブリの入荷が10月頭に始まった。飲食店の顧客を多く持つ仲卸業者は「相場は高いがその分人気も高い」と仕入れに注力。ラウンド、半身、4分割に分けて身質の高さをアピールしている。
羅臼漁協は5、6日の両日、船上活じめで付加価値向上に取り組むブリの販促活動を、生活協同組合コープさっぽろの札幌市内2店舗で実施した。定置業者自らが店頭に立って血抜きなどを施した高鮮度、脂の乗りの良さなどを消費者にアピールした。
関東甲信越でショッピングセンターチェーンを展開する株式会社ベイシア(群馬県前橋市)は、多魚種で産地との連携を強化している。サンマや秋サケでは道漁連や産地加工業者との直接取り引きを本格化し、品ぞろえを充実。販促ツールも活用し、競合店との差別化につなげている。スーパー「ベイシア」各店舗では秋の味覚が出そろう9~10月、消費者の購買意欲をかき立てる売り場づくりを繰り広げている。
包装業界や容器・包装を使用する食品など各種業界は持続的な社会の実現に取り組んでいる。包装の役割である「中身を守る」という機能向上への技術開発とともに、プラスチック使用量の削減、容器・包装のリサイクル、CO2削減などを推進している。容器・包装のリサイクル推進に向け、単一の素材で製品を作るモノマテリアル化の推進、着色剤レス、脱墨技術の開発が行われるなど、素材循環に向けた取り組みが進みつつある。その上で、フードロス対策、賞味期限延長ニーズなど機能性も維持させる必要があり、以前にも増してバリア性を有する包装ニーズが拡大している。
帯広市の珍味製造販売・株式会社江戸屋は、水産品をはじめ地元特産の農産品など多品目を扱う珍味事業と産直ギフト事業を柱に業容を拡大し、来年創業70周年。販売戦略ではテレビCMによるブランディング、自社製珍味をつまみに提供する飲食店経営など挑戦を続けている。水産食品メーカーはイカやサケなど原料全般の水揚げ不振・価格上昇、人手不足への対応が共通課題。塩野谷壯志社長に経営方針、今後の展望を聞いた。