4、5日に発生した台風21号で、鹿部漁協の一部のホタテ養殖施設が被災した。切断したけたや脱落・絡まった耳づりなど計32台が被害に遭い、復旧不可能な施設を7、8日に台船で引き上げた。渡島総合振興局によると出荷できないホタテを合わせた被害総額は6300万円に上る。
陸奥湾で全自動ホタテ耳吊機「TEC─3」を導入した漁業者の評判が一段と高まっている。へい死が増えた昨年以降、手で差し込む耳づりよりも成長・生存率が良いためだ。機械化に伴う作業効率の向上やコスト削減効果に加え、貝にも優しい機械であることが分かってきた。「もう手差しには戻れない」と口をそろえる使用者。導入効果を実感する声が相次いでいる。
宮城県のホタテで中心となる移入半成貝養殖に経営の厳しさが増している。貝毒規制が深刻なへい死に拍車をかけ、価格の低下ももたらしているためだ。養殖存続が危ぶまれかねない生産者が増えている様子で、11月から活発化する今季移入は数量のいっそうの減少が必至。代替となる地種や移入当年貝、越冬貝も模索される。
陸奥湾の稚貝採取は、地区間で数量に差があるものの全湾的に必要量を確保したよう。サイズは昨年より小型で、地区によっては採取時期が8月の盆明けにずれ込んだ。成長は順調に進んでいるとみられ「玉付けした」と話す着業者も。1回目の分散は早い地区で9月20」20日ごろから始まる見通し。
まひ性貝毒の猛威が三陸沿岸で春から続き、とくにホタテで出荷自主規制海域が広がり長期化する中、宮城県水産技術総合センター(石巻市)で8月30日に開催された本年度試験研究成果発表会でこの貝毒が大きなテーマとなった。仙台湾の貝毒原因プランクトンが牡鹿半島以北に潮流に乗って流出、増殖に好適な水温が続いて増え、異例の貝毒発生につながった可能性が示唆された。
オホーツク海のけた引は、北部、南部合わせ8月末で17万トンを水揚げし当初計画の約7割に達した。北部は宗谷、猿払村が3万トン、枝幸が2万トン超え、南部は紋別、常呂が1万7000トン。8月前半のアソートは北部が3S、南部が4S、5S中心、歩留まりは北部が11%前後~12%台、南部が12%前後~13%台。浜値はキロ平均100円台中盤で推移している。
岩手県のホタテでまひ性貝毒により出荷自主規制となる海域の24.5トンが8月29日、県漁連入札に上場された。貝柱製品向けの出荷基準が緩和されたためで、10キロ当たり5031~3299円で全量落札。上場した吉浜漁協は「全量さばけほっとした。今まで新貝を1枚も出せておらず、やっと出せる」と安堵(あんど)、9月2日から水揚げを開始した。
道漁連は8月29日、道産魚介類を取り扱う取引先でつくる「道ぎょれん会」の秋季取引懇談会を、東京都内で開いた。札幌や関東地区の卸や商社など約160人以上が参加。秋サケ、いくら、ホタテの商戦展開を意見交換した。
網走漁協で稚貝の本分散が始まった。今年は付着量、成育状態ともに良好で昨年より大きいサイズを確保。作業も仮分散から順調に進み、21日に始まった本分散は9月上旬に終わる予定だ。
専業7軒、兼業6軒の13軒が着業。前浜の地まき用に1億8千万粒、外販で1億2千万粒、計3億粒を生産している。仮分散を8月前半に終え、本分散が順次スタートしている。
イカ、マグロを主力としてきた函館市の(株)道水(髙野元宏社長)は、ホタテの玉冷製造に乗り出した。付加価値の向上を求め、全国初となる「スチールベルト式プロトン凍結機」を導入。高品質な冷凍品の量産で後発の弱さを克服し、生魚から冷凍主体の売り場に舵を切った首都圏・量販店の動きにも対応する。原貝ベースで年間2千トンの処理を目指し国内外に良質な玉冷を提供していく。