市場流通の弱いカナガシラの有効活用を目指し、青森県野辺地町漁協で刺網漁などに着業する熊谷浩さんと、海洋環境保全に造詣が深い土木建築業・志田内海株式会社(青森市)の志田崇会長が「かながしらラーメン」の販売に乗り出す。濃厚なだしが取れる利点を生かして製造したラーメンが県主催イベントで大好評となり、本格販売へと舵を切った。JR青森駅近くの人工海浜「あおもり駅前ビーチ」周辺に店舗を構える計画で、カナガシラを漁獲する熊谷さんは「未利用魚の知名度を高め付加価値を向上させたい」と意欲を燃やしている。
昆布森漁協仙鳳趾地区でカキ養殖を中心に営む村井重さんが昨年オープンした「かき番屋しげちゃん」が人気を集めている。鮮度抜群のカキを生をはじめ焼きや酒蒸し、フライなどで提供。身が大きく濃厚な味わいに「お客さんは皆感動して帰ってくれる」と喜ぶ。同地区でカキ料理を味わえる唯一の店として仙鳳趾漁港近くにオープン。村井さんは「観光客は地場のものを食べたいが、ライダーなどから仙鳳趾にはカキの直売店はあっても食べられる店がないと聞き、お店を出そうと思った」ときっかけを話す。
函館市の一般社団法人Local Revolution(岡本啓吾代表理事)は、函館近海で水揚げが増えているマイワシを有効活用した新たな産業づくりのプロジェクト(PJT)で、「アンチョビ」に続き、昨年10月に第2弾のアンチョビソース、今年2月には第3弾のナンプラーを打ち出した。3商品でマイワシをほぼ余すところなく活用する基盤を確立。食文化の形成・浸透を目指し、販売拡大を進めていく。また、今後はより手軽に食べられる冷凍食品の開発も視野に入れている。
神奈川県の三崎漁港から鮮魚を供給している活々水産合同会社(大庭剛代表)がシンガポールの高級すし店への出荷に注力している。品質重視の戦略で信頼関係を構築し、週3~4回の定期供給体制を確立。SNSを通じた情報発信と顧客との直接的なコミュニケーションもリピート注文の要因になっている。納品先は「鮨 龍次郎シンガポール」。責任者・池田成樹料理長から「ぜひ店舗で使いたい」との依頼を受け輸出を始めた。
食品機械・技術の展示商談会「FOOMA JAPAN 2025」(日本食品機械工業会主催)が10~13日、東京ビッグサイトで開催される。今年のテーマは「Touch FOOMATaste the Future」。次世代の食品製造の可能性に触れ、その未来を味わえる機会を提供する。
道水産林務部は5月24、25の両日、イオン北海道株式会社と連携し、札幌市のイオンモール札幌平岡で道産水産物PRイベント「ほっかいどう大漁まつり」を初開催した。8市町から漁協・漁業会社、水産加工業者の計10団体・業者が集結。全道各地の生産者団体と加工業者が一堂に介し、前浜産・道産水産品を販売する機会は珍しく、普段店頭に並んでいない特産品を買い求める札幌市民らでにぎわった。
野付尾岱沼の根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)共同海区が5月22日までに終漁した。1月以降の累計数量は前年同期比24%増1万5156トン。5月末計画に対する達成率は114%となった。キロ平均単価は88%高686円(税抜き)と高騰、金額は2.3倍の103億9686万円となり100億円の大台を突破した。
様似町で昆布加工・卸を手掛けるダイシン株式会社(廣田義文社長、電話0146・39・1000)はこのほど、日高産根昆布が原料の「生こんぶ茶」を発売した。昆布茶では初という濃縮液体タイプ。食塩は使わず、根昆布由来の優しい塩味が特長で、希釈して味わう。調味料を加えて昆布だしにもアレンジでき、さまざまな料理に使える。
創業77年に上る札幌市の削り節製造販売業・有限会社富樫政雄商店(富樫悠平社長、電話011・831・6681)はコロナ禍を契機に卸専門から業容を広げ、小売りで消費者にだしの訴求に挑んでいる。昨年9月には工場1階に店舗スペースを開設。若年層にもアプローチを狙ったパッケージと併せて商品開発に専心努力。世界に誇るだし文化の継承、食産業発展の下支えを見据えている。
函館市水産物地方卸売市場の仲卸・有限会社川原水産(岩館拓社長、電話0138・27・5125)は、魚食普及活動「プラスさかなプロジェクト」で水産物の魅力を発信している。昨年夏に市内観光エリアの西部地区に函館近海の魚を題材にしたグッズの直売店舗を開業。水産素材のフードを提供するカフェも併設し、観光客や地域住民にアプローチ。見て・食べて・使っての拠点設置で「さかなから生活を+(たし)なむ」コンセプトで取り組む事業展開の深化を追求していく。