2018年9月の北海道胆振東部地震から昨年で2年が経過。被災地では槌音が響くなど、ハードの復旧は着実に前進している。一方で「未来の厚真のため、日ごろからざっくばらんに語り合うことが重要」と話すのは、鵡川漁協厚真地区でホッキ漁やシシャモ漁などに着業する澤口研太郎さん。復興後のまちの姿に思いを巡らしながら、コミュニティー活動の先頭に立つ。
岩手大学釜石キャンパス(岩手県釜石市)で学ぶ、同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生が、地域との結びつきを強めている。2016年度に新設された同コース。地域の復興・活性化に取り組み、釜石に不可欠な存在として価値を高めている。市も学生主体のイベントに補助金を交付するなど支援。学生たちは交流を通じて浜の本音を聞き、課題の解決策を模索している。
北海道産カキは、今季の身入りも良好で生産量は潤沢とみられるが、むき身と殻付きの消流はコロナ禍によって明暗が分かれた。量販店は巣ごもり需要が継続し、むき身中心に堅調な動き。反面、飲食店など外食主体の殻付き消費は厳しさを増している。労働力不足で産地加工業者の処理体制も万全とは言えず、今後の消流に一抹の不安を抱えながら後半戦を迎える。
地域の潜在力を引き出す役割が期待されている地域商社。従来とは違った切り口で資源のブランド化や市場開拓などに奔走、北海道内の水産分野でもその動きが徐々に広がっている。コロナ禍で水産物流通が苦戦する中、既存の流通の担い手とは一線を画すユニークな存在として今後の活躍に期待がかかる。
札幌の北海精機(株)(能戸起実社長、電話011・875・1065)が製造販売する油脂分解・有機物生分解洗浄液「大地 AS─L」は、水産関係など多分野に普及している。高い洗浄力・光沢復元に加え、除菌や消臭、防錆など各種効果を兼ね備えるのが特長。排水環境の改善も期待できる。希釈使用のため経済的にも優れ、漁業・船舶関係だけでも船体やエンジン部品、漁網の洗浄などさまざまな場面で効果を発揮している。
平成以降最低だった2017年と同程度の来遊不振となった昨年(20年)の北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、4年魚で回帰した16年級は日本海区とオホーツク海区を除き不漁年級の模様。17年級も3年魚での回帰水準は日本海区を除き総じて高くはなく、来期も低来遊の継続が懸念される。
道の駅「しかべ間歇泉(かんけつせん)公園」は2019年4月から(株)シカベンチャー(大関将広社長)が指定管理者として運営を担い、スタッフの意識改革や商品・売り場の改善、情報発信に注力。16年の開業以来右肩下がりだった売り上げ(間歇泉公園入園料と物販)は上向き基調へと転じ、今年度もコロナ禍の中で好調に推移している。また、緊急事態宣言に伴う春の休業期間を契機に、通話アプリで買い物ができるウェブ来店システムを導入するなど、コロナ対策も大きな話題を呼んでいる。
市場・水産卸をイメチェン! 札幌市中央卸売市場の荷受・髙橋水産(株)(髙橋清一郎社長)は、女性を中心に若手社員らで「イメチェンプロジェクトチーム(PT)」を立ち上げ、写真共有アプリ・インスタグラムを活用した情報発信に臨んでいる。市場に入荷した旬魚や食べ方をはじめ、社員の趣味なども投稿。「皆で楽しめ、それが外にも伝われば」と、社内コミュニケーションの活性化も意識し、今後もさまざまな活動を展開していく考えだ。
商業捕鯨の再開に伴って水揚げの中心になったニタリクジラが、ミンククジラの人気を追い越しつつある。一方で北海道では依然としてミンクの引き合いが根強い。調査捕鯨の頃、生体研究の副産物として、主にミンクやイワシクジラが販売されていた名残でもあるが、捕鯨国内大手の共同船舶(株)はニタリの需要底上げに注力。特に北海道で普及させたいと力を込める。
サンマや秋サケなどの水揚げ不振や魚食離れ。流通現場を取り巻く状況は厳しさを増すばかりだが、「仲卸の見える化」をコンセプトに反転攻勢に挑むのが札幌市中央卸売市場の大手仲卸・一鱗共同水産(株)だ。SNS(会員制交流サイト)を駆使した広報活動や異業種との連携などを切り口に活路を見いだす。