東京電力は24日、福島第一原発のALPS処理水の海洋放流を始めた。風評被害などに不安を抱える地元・東北地方をはじめ漁業関係者らが反対する中、岸田文雄首相は21日に全漁連の坂本雅信会長らと面会し、風評被害対策など「全責任を持って対応する」と強調。ただ、中国は24日、放出を非難し、日本の水産物の輸入を全面的に停止したと発表した。東日本大震災の復興に避けて通れない福島第一原発の廃炉に向けて長期にわたって漁業者、水産業界は懸念材料を背負わされる。
南かやべ漁協のタコが好調だ。数量2割増に加え平均単価も1割高の千円強に上昇。金額を3割増に伸ばしており、今後の水揚げも期待される。箱やいさり、夜縄などで水揚げ。同漁協によると22日現在の数量は組合全体で前年同期比19%増の175トン、金額は33%増の1億9400万円、キロ平均単価は12%高の1109円。
利尻漁協のバフンウニはシケによる沖止めが続き浜値が高騰、8月上旬にはキロ6万円台と組合史上最高値を付けた。ただ7月末現在の累計では数量、金額ともに前年同期を大きく割り込んでいる。漁期は終盤に入ったが、最後の追い上げに期待がかかる。
第25回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が23~25日、東京ビッグサイトで開催される。前年を上回る1267小間は、出展者数・小間数ともにコロナ禍前に迫る規模。来場者数2万5千人を目標とし、コロナ禍からの水産業界の脱却となる機会とする。
ホタテ輸出先の多くを占める中国の消費低迷が現実味を帯びている。中国輸出に詳しい商社筋は、ゼロコロナ政策や不動産市場の減速に伴う景気悪化に加え、7月に始まった放射性物質検査の強化が追い打ちをかけ、さらには「日本産水産物に対する中国国民の受け止め方も変化している」と警戒を強める。
利尻漁協の養殖は収穫がほぼ終了した。全般的に毛(ヒドロゾア)が早く付きだしたことに加え後半にかけて付着状況が進行。同漁協全体で大幅な減産となる見込み。着業者は「例年とは違い頭から付いたコンブもある」と今季の特徴を話す。同漁協によると昨年の養殖コンブの実績は249トン。今年は当初222トンの計画だったが8月上旬の段階で72トンと大幅に下方修正。「養殖は230~250トンほどで安定していたが今年は全般的に毛が多く苦戦。大減産となる見通し」と示す。
岩内町が青森県の株式会社オカムラ食品工業(青森市)と同社グループの日本サーモンファーム株式会社(深浦町)と連携して取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験は今年6月に初水揚げを迎え、約14トンを出荷した。加えて、岩内沖の海洋深層水を活用した陸上での蓄養試験も実施しており、将来的な端境期出荷が可能かどうか検証している。
増毛漁協のミズダコはタコ箱で一時キロ1800円台と高騰した。昨年から高値基調となる中、今年は一段と強含みの傾向を示している。一方7月末時点の水揚量は、タコ箱が昨年並みとなった反面、空釣縄が失速し全体では2割の減産。金額は単価高の影響で昨年を上回っている。
函館市の株式会社誉食品(熊谷輝彦社長、電話0138・86・9291)は、噴火湾産ベビーホタテを使用した「ほたて松前漬」のプラスチック容器入りタイプを新たに打ち出した=写真。看板商品の松前漬で、需要が回復してきた土産品や、ギフト向けの単品・セット商品を充実し、販売拡大に臨んでいる。