札幌市の「北海〆さば 鯖専門店」(福原一博代表、電話080・4586・0038)は、2018年6月の開店以来、店名通りに「しめさば」の一商材を追求している。独自ルートで調達する国産の厳選素材に、川上の漁業者と川下の料理人の両端に従事し培った魚介類の知識と調理技術を注入。幅広い層のファンをつかんでいる。
道水産林務部は12日に行われた道議会水産林務委員会で、新型コロナウイルス感染拡大が今年12月ごろまで長期化した場合、外食産業の消費減退や輸出停滞などで全道の漁業生産額が2千億円を割り込む可能性があるとの試算を提示した。2019年の生産額(2350億円)を500億円超下回る。
各漁協に対し、4月20日ごろに新型コロナが漁業生産額に及ぼす影響を聴取した上で推定。その結果、魚価安や操業の制限などで水揚高が落ち込む見通し。乗組員の雇用打ち切りや廃業などの懸念が高まるほか、生産額のダウンが漁協の経営悪化につながると不安視する声も上がった。
日本海沿岸のニシン刺網は道水産林務部の集計(速報)によると4月30日現在で前年同期比77%増の3123トンに上り、1996年に種苗放流事業を開始して以降初めて3千トンを突破した。
主力の小樽市漁協と石狩湾漁協の3月終漁後に数量をけん引したのは留萌管内。今季は地区間差はあるが4月頭から水揚げが順調に推移したため、4月30日現在で807トンに達した。昨年実績324トンの約2.5倍となり、1999年以降で最多を記録した。これまでは04年の364トンが最も多かった。
鮮魚卸の海光物産㈱(千葉県)は東京湾のスズキでMSC(海洋管理協議会)認証を目標に、(株)シーフードレガシー(東京都、花岡和佳男社長)の協力のもと日本初の漁業改善プロジェクト(FIP)を進めている。海光物産の大野和彦社長はまき網着業者の祖父・繁次郎氏が100年前に提唱していた「持続的な漁業」を胸に、コロナ禍でも経営改善を模索。このたびエンジンオイル販売業者と手を組み、時代に即した操業モデルを見いだしていく。
北海道のコンブは、6月から釧路・根室のさお前、渡島の促成などで水揚げが始まり徐々に本格化する。生産は減少傾向が続いており、昨年度の道産コンブ格付実績は過去最低の1万2921トンまで落ち込んだ。消費も近年低水準で推移。日本の食文化を支えてきた産業が今苦境に立たされている。業界団体や研究者らは増産と需要喚起に向け注力。昆布だしにこだわりを持ち、その魅力を伝える人たちもいる。コンブを次世代へとつなぐ─。その思いや取り組みを取材した。
オホーツク沿岸の漁場造成は、4月末で前年同期比約6割増の3万3千トンとなった。北部の宗谷、猿払村は日産150~250トン前後、南部の湧別、常呂は130~150トン前後。おおむね順調だが、やや遅れ気味の漁協もある。歩留まりは7~8%台、アソートは5S中心。造成は終盤に入っている。北部の本操業は5月中旬から。南部は5月末以降となるが、紋別は4月23日から始まった。
留萌管内のエビかご漁が3月に始まった。主力のナンバンエビは北るもい、増毛漁協とも低調な水揚げ。北るもいではボタンエビも振るわず広範囲に分散しながら手探りの操業が続いている。末端消費が低迷する中、ナンバンは薄漁を映し浜値の急落を免れているが、従来から高値形成のボタンは値崩れの様相を呈している。
スモークサーモンのブランドメーカー・王子サーモン(株)(本社東京都)は昨年から製造後ノンフローズンでチルド流通のスモークサーモンを、道内はじめ関東・関西圏など全国に展開している。出来たての食感と風味を提供。量販店を中心に売り場が拡大している。
政府は4月29日付で2020年春の叙勲受章者を発表した。道内漁業関係者では、地域の漁業や漁協系統運動など水産業振興に努めてきた功績が認められ、北るもい漁協組合長の今隆氏、前森漁協組合長の松居俊治氏が旭日双光章、白糠漁協組合長の柳谷法司氏が旭日単光章を受章した。
農林水産省は、農林水産業・食品産業の作業安全対策を分野を横断して推進する対策を強化する。安心して働ける環境にしなければ生産業に若い世代が未来を託せないとして、3月には安全対策の取り組み気運を醸成するためのシンポジウムを開催(新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無聴衆で)、その内容を4月23日に農水省ホームページで公開した。また、作業安全対策に役立つ漁業技術などを集めた新技術カタログも作成した。