(株)マルタカ髙橋商店(根室市、髙橋博社長)が道南・知内町に建設を進めていたウニ加工施設がこのほど完成した。不純物の混入を防ぐため各作業部屋を仕切るほか、耐熱・耐酸性に優れ強度が高い床材を採用するなど衛生面を重視したつくり。品質を保つ恒温高湿庫やコールドテーブルといった機器類も設備。知内産を中心に扱う新たな加工拠点として4月から稼働している。
根室漁協(大坂鉄夫組合長)が根室市花咲港地区で建設を進めていた花咲貯氷・冷蔵第二工場が竣工した。サンマ棒受網漁や秋サケ定置漁など操業の繁忙期に加え、ロシア水域のサケマス流網漁禁止に伴うホタテ漁場の新規造成、サバ・イワシ漁など新たな氷需要や保管機能のニーズに対応する新施設。6月から本格稼働し、漁獲物の円滑流通、魚価の向上につなげていく。
標津前浜で漁獲する水産物の魅力発信や6次産業化に挑む標津波心会(林強徳代表)の活動が飛躍している。昨年始まった東京の鮮魚店とのコラボや今後本腰を入れる地元での対面販売など、若手ならではの行動力を発揮。新型コロナウイルス感染拡大の逆境下でも旗印に掲げる前浜産鮮魚の普及や付加価値化に向け着実に歩みを進めている。
オホーツク沿岸の漁場造成で水揚げされた卵付きの天然貝が、4月中旬以降、中国向けの冷凍両貝に仕向けられた。中国の状況について、加工筋は「工場再稼働後に北朝鮮産が輸入できず、仕事買いの側面もある。卵付きのオファーで一時的だった」と説明する。
羅臼漁協のコンブ養殖業者は、流氷対策で沈めていた施設を浮上させ、間引きや株分け、雑海藻駆除など各作業を進めている。同漁協によるとシケや流氷による大きな被害はない。水揚げは例年7月中旬に始まる。
5月上旬に施設を浮かせたという着業者は「成長が芳しくない。幅がなく短い。流氷被害や根腐れもないので、夏までに少しでも成長してくれたら」と願う。これから間引きを行い生育を促す。
湧別漁協でタコ箱やホタテ稚貝養殖を中心に操業する工藤正弘理事の第七十八嘉和丸(よしわまる、4.9トン、アルミ)がこのほど竣工した。舷門やミズダコ専用の水槽など、安全性・作業性を重視したこだわりの新船が誕生。4月30日に地元・湧別漁港でその雄姿を披露した。
砂原漁協のカレイ刺網は休漁明けの3月からアカガレイが振るわない。4月以降はソウハチが増えだしたものの、末端消費が伸びずキロ2桁と安値基調。着業者は1~2日置きの操業調整を強いられている。
釧路市東部漁協青年部(司口圭哉部長)は、千代ノ浦漁港内でカキとウニの試験養殖に乗り出した。部員7人で二手に分かれて取り組む計画。司口部長は「試行錯誤して自分たちの養殖漁場に合った手法の確立を目指していきたい」と話す。カキは司口部長が中心となり取り組む。三陸から半成貝約7千個を搬入してかご養殖。殻付きで生産する計画。「どの程度成長するか楽しみ。カキ養殖に関してはまだまだ知識が浅いので、成長速度や潮流などの環境を見極めながら工夫していきたい」と意気込む。
また「市内のスーパーに並ぶのは他産地のものばかり。ネーミングなども考え、釧路市産のカキが並ぶよう取り組んでいきたい」と展望を話す。
東京・六本木のバルスタイルのウニ料理専門店「UNIHOLIC(ウニホリック)」((株)kuLo運営)は、店舗のメニューを自宅で再現できる料理キットの販売に着手した。消費者の外出自粛が続く中、「ステイホーム」生活にちょっとした贅沢をウニを使って提供する。店側も営業時間の短縮による減収幅の縮小を図り、新たな収入源の確保に向け活路を見いだしていく。
宮城県女川町の水産加工2社、(株)鮮冷(石森洋悦社長、電話0225・25・5100)と(有)マルキチ阿部商店(阿部淳社長、電話0225・53・2505)は5月末、業務提携を結ぶ。製造ノウハウを共有し、原料調達や物流、営業面での協力関係を築く。
業務提携に向けた調印式は4月28日に行われた。具体的な提携内容は今後詰めるが、▽販路の共有▽設備の共有▽ノウハウの共有▽人的リソースの共有▽原材料の融通の5点を柱に、気候変動に伴う漁獲量減少や後継者不足、新型コロナウイルス感染問題などの苦境を乗り越えたい考え。