主力魚種総崩れの水揚げ不振、連年の自然災害など“衝撃”の平成28年から年が明けた。北海道の水産業界は生産量の早期回復と安定化を重点に将来に希望を持てる漁業・漁村づくりに各種の取り組みを加速していく。年頭に当たり、道水産林務部の小野寺勝広部長と、道漁連の川崎一好会長(8・9面に掲載)に展望を聞いた。
昨年の北海道史に残る出来事の一つは、北海道日本ハムの10年ぶりの日本一。投打で活躍したのが大谷翔平選手だが、浜には勝るとも劣らない「二刀流」の漁業者がいる。命がけの漁の傍ら、スポーツや音楽、芸術など秀でた技能を生かし、異業種や地域活動などをこなす。浜の仲間や地域住民からも一目置かれる存在だ。
DHA、EPA、アスタキサンチン……。水産物が持つ「健康栄養素」を“見える化”できる食品機能性表示制度。北海道の独自制度が平成25年に、消費者庁の第3の制度も27年に始まったが、水産品の流通は乳製品や飲料など他食品と比べてまだ発展途上。健康食品市場の伸長が見込まれる中、魚食普及への波及効果と併せて表示食品の拡大が注目される。
東日本大震災で大きな被害を受けた三陸沿岸の水産加工場の大部分は国の補助金などを受けて復旧しつつあるが、従来の販路回復に苦闘している企業は少なくない。そこで既存路線とは異なる新業態に着手し、販路の獲得に乗り出す事業者も出てきている。眠っていた資源の有効活用や、主力商品でも難しかった加工形態に挑戦するなど新たな一歩を踏み出している。
養殖の早採りコンブの利用が進む中、道立工業技術センターが「生製品を評価する物差しが必要」と技術開発したのが生鮮コンブの品質評価方法。ボイル後の緑色度で鮮度を判別。ダルスの研究などにも応用している。
昨年8月16~31日に4つの台風が相次いで上陸・接近した北海道。波浪によって秋サケ定置網やホタテ養殖施設の損壊、天然コンブ被害や干場の砂利流出などが発生し、被害額は水産業だけで79億円に上る大災害となった。大雨の影響で流木被害も多発。特に十勝地方では海洋に流出した流木が海岸に漂着し、海底に沈んだ流木は漁網損傷や引網漁に影響を与えた。さらに河川域にはいまだ処理できない危険木も多数存在し早急な対策が求められている。漁業被害を繰り返さぬために、NPO法人環境防災研究機構北海道の専務理事・黒木幹男氏に流木被害の発生要因や対策のポイントを聞いた。
低水準のホタテ水揚量が続く北海道。平成28年度の水揚げや玉冷・ボイル消流の新年見通しを道漁連の大谷内優営業第一部長に聞いた。
「相撲部41年ぶりのインターハイ出場」「乗船実習生 無事に帰函」─―。力強い見出しが躍るのは函館水産高校新聞部が発行する『蒼海時報』。戦前からの歴史があり、休刊を経て昨年12月15日付で復刊246号を数えた。顧問の西島正秀教諭と部員7人が部活動の活躍や見学旅行など身近な学校生活を中心に紙面構成。「伝統は絶やさない」と月1、2回のペースで各情報を発信し続けている。
日本海のニシン刺網が間もなく始まる。水揚げは石狩・後志の両管内が主体。新年のスタートを切る魚種だけに漁業、加工・流通関係者の期待は大きい。
昨年7月に北海道に初進出した水産物卸・小売大手の中島水産㈱(東京都、中島明社長)は、札幌店で札幌市民の新たな需要を開拓しながら販売を伸ばしている。築地直送の強みを生かし、札幌市内では珍しい魚種でも調理しやすく簡便性を高めた商品を提供、好評を得ている。