札幌のセンチュリーロイヤルホテルは、松前町の未利用海藻である天然アオノリをふんだんに使った特別メニューの提供を1日から日本料理「北乃路」で開始した。青のりの上品な磯の香りや味わいが炊き込みご飯や茶わん蒸しを引き立てて、未利用資源に潜む可能性に光を当てた。
イカのまち・函館で漁獲が増えているマイワシを有効活用した新たな産業基盤の確立を目指すプロジェクトが進んでいる。レストラン、水産加工・販売業者、漁業者らが連携。先導役に「アンチョビ」を選定し、商品の販売拡大と併せて自家製の普及などで地域の食文化を形成。イカ同様に全国に認知される土台を築いていく。
宮城県塩竈市で、市場に流通しにくい未利用魚を活用した「塩竈フィッシュバーガー」が誕生した。水産加工のマルサン松並商店株式会社(同市、松並理恵社長)などが展開する「海の宝物プロジェクト」の一環。漁獲資源の有効活用や漁業者所得の向上を図ろうと、傷物のマダラを使って地元の高校生と共同開発した。ご当地バーガーとして売り出し、観光振興や交流人口の増加にもつなげる。
1日に解禁した道南太平洋沖のスケソ刺網は、胆振管内の主産地・いぶり中央漁協では高水温などの影響で着業船の日量が伸びず、ハシリから低水準の水揚げで推移している。23日現在の累計数量は前年同期比45%減の289トン。漁業者は今後の海況好転と増産に望みをつなぐ。一方、魚体も小ぶりで卵が未成熟ながら、浜値はキロ100円超の相場を形成。地元加工業者の仕入れ環境も厳しさを増している。
真空包装機国内最大手の株式会社TOSEI(東京都品川区、谷嶋和夫社長)は18、19の両日、仙台市の産業見本市会館サンフェスタで展示会を開いた。賞味期限切れによる食品ロスの削減を目指す機運が高まる中、高鮮度保持が可能な真空包装機への関心度もアップ。三陸・常磐など東北地方の水産加工会社を中心に約200社が来場した。
函館大学と八雲町、水産加工の株式会社イチヤママル長谷川水産は、同町が北海道初の海面養殖事業化に取り組む「北海道二海サーモン」を使った「二味弁当」を共同開発した。19日に函館短期大学付設調理製菓専門学校で試食会を開き、6品の料理でトラウトサーモンの味わいを楽しめる和食弁当に関係者が新たな需要開拓の可能性を実感。2030年度の北海道新幹線新八雲駅開業もにらんで商品化を進めていく。
サロマ湖でカキの水揚げが始まった。序盤は3単協(湧別、佐呂間、常呂漁協)の成長度合に差が生じている。湧別は身入り、放卵の遅れが目立ち、佐呂間は小ぶりだが、常呂はおおむね良好な状態でスタート。出荷量はむき身、殻付きとも、成育の良かった昨年を下回っている。出足低調に加え、消費地需要は強いことから、浜値は高値基調で推移している。
札幌市の海産物卸小売・株式会社まる旬(佐藤旬社長、電話011・590・1825)は、冷凍加工品を専門に取り扱い、各種ギフト・景品・自家需要などで個々の予算・好みに合わせたオリジナルセットを考案・販売している。厳選食材の仕入れから梱包・発送業務まで内製化し、一気通貫で提供。北海道の食の価値・魅力を発掘・発信し、企業の成長に臨んでいる。仕入れ先は10社を超え、歯舞漁協の歯舞たこかご部会が厳しい選別基準や餌吐きなどの品質管理で付加価値向上に取り組む活ダコ(マ、ミズ)のブランド「金たこ」も取り扱っている。「今後も各地のナンバーワン、オンリーワンの価値ある商品を増やしていきたい」と話す。
持続可能な水産業の振興をテーマにしたアジア最大級のイベント「東京サステナブルシーフード・サミット2022」(TSSS2022・株式会社シーフードレガシーと経営誌の日経ESG主催)が19~21日開催された。「水産『ブルーオーシャン』戦略を描く~人権・生物多様性・気候変動から考えるサステナブル・シーフード~」をテーマに、水産分野が向かうべき新しい領域「ブルーオーシャン」を切り開く道筋について考えた。
根室・花咲港を拠点とするサンマ棒受網漁は、低調だった昨年と同水準の水揚げが続いている。9月下旬以降は日量100トン超えも散見され、ハシリより上向いたものの、漁業者や地元の買受人は「水揚げが増えている実感はなく、厳しい状況には変わりない」と一様に不安を口にする。組成は小ぶりで100グラムが目立ち、地元の加工会社は「小サイズが多く、本州送りにも苦労している」と強調。10月中旬以降での水揚げ挽回と組成の大型化に望みを託す。