サンマ棒受網漁は10月下旬ごろに各港合計での日量が千トン超とまとまった。ただ、過去最低水準の漁模様で推移しており、主産地である根室では減産に頭を痛める漁業者とともに、水産会社も原料の仕入れに苦慮している。水揚げされたサンマは全体的に細いものの、浜値がキロ400円程度とこの時期でも生鮮相場。現地では冷凍に仕向ける動きが進む。
苦境に立つ三陸産ホヤの消費拡大に向け、地元加工業界でもあの手この手の働き掛けが始まっている。岩手県大槌町のデジタルブックプリント(株)(佐藤力社長、電話0193・55・4217)は天然ろ過海水でパックした刺身用の「恵海(めぐみ)ほや」を開発し発売。全国にホヤ好きの輪を広げようと「おおつち・ほやファンクラブ」も創設した。販路開拓や食べる機会を増やす消費の仕組みづくりにつなげたい考えだ。
枝幸町の(株)オホーツク活魚(藤本信治社長、電話0163・62・4553)は今季も猿払産活ホタテの販売に力を入れている。「若ほたて」と銘打った小型サイズを含めネット通販や日本郵便(株)の「ふるさと小包」で発信。来季は洗浄選別機を導入する計画で、選別能力を向上させて取扱数量を増やし、販売拡大を目指す。
枝幸漁協(須永忠幸組合長)、さけ定置部会(浅利義美部会長)は、「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」の認証と、船上活じめで枝幸産秋サケの訴求に乗り出した。地元仲買と連携し、塩蔵切り身としょうゆいくらを商品化。資源と環境に配慮した定置網漁業で獲れた秋サケに血抜き処理を施した高鮮度・高品質などをコンセプトに特長付け。枝幸町のふるさと納税返礼品などで全国に発信していく。
品質の高さから近年好値で推移している散布漁協の養殖ウニ。後継者対策に寄与する漁業として期待も大きく新規参入が進む中、養殖場の火散布沼では、へい死を最小限に抑えるための大雨対策にも注力する。これまで調査に携わってきた大学などを中心に今年、四胴型自動航行船「ロボセン」(アクアドローン)を用いた水質調査を開始、AIによる水質予報技術の開発を目指している。
帯広市の珍味製造・(株)江戸屋(塩野谷壯志社長、電話0155・33・8114)は、北海道産秋サケの皮を使った珍味「鮭皮チップ」が定番商品に成長している。特に本州で売れ行きが好調。昨夏に商品種を拡充し、新規取引先もつかんでいる。
タカハシガリレイ(株)(大阪市、鳴田友和社長)はこのほど、アルコールバッチ式急速凍結装置をラインアップに加えた。大量、連続生産がかなうトンネルフリーザーで実績、定評のある同社だが、アルコールバッチ式を備えることで少量多品種にも対応、低温領域の生産をより幅広くカバーできるようになる。水産、食肉業界への導入促進を働きかけている。
青森市の(有)塩谷魚店(塩谷孝社長)が10月~11月初旬の季節限定で販売する「越冬真鯛」が好評だ。平内町漁協清水川支所のホタテ養殖漁業者とタッグを組み、漁業者が釣り上げたマダイを活じめ・神経じめ処理し関東・関西の顧客に提供。「活魚は体力の回復が肝心要」と話す塩谷社長が鮮度保持の手順を指導しており、漁業者と二人三脚で付加価値を高めている。
コロナ禍の影響で末端消費に不安を抱えながらスタートした今季のホタテ消流。春先の巣ごもり需要に伴う量販店での販売と、テイクアウトを始めた回転ずしの消化が順調で、他の外食産業が低調ながら消費回復に向け前進している。しかし秋口からは原貝の歩留まり低下が著しく5S~6Sが増産、4Sを含む大型のフリー在庫はほぼ払底状態。輸出が期待薄の中、小型アソートの消化が今後の焦点となる。
道の駅「しかべ間歇泉公園」が販売する「根昆布だし 天然白口浜真昆布使用鰹節エキス入」(500ミリリットル、950円)が好評だ。貴重な鹿部産天然真昆布を贅沢に使い、清澄で雑味がなくすっきりとした味わいが特長。レシピなどの店内POPを充実させて訴求する。リピーターも多く、昨年9月の発売から1年で約1万本を売り上げた。