ロシア・ウクライナ情勢をめぐるサプライチェーンの混乱で、日本に空輸されるノルウェー産サーモンの供給が全国的に不安定になっている。国内の回転ずしチェーンでサーモンの販売を休止する動きも出ている。ノルウェー水産物審議会によると、9日現在、安定的な供給体制を維持するため、ロシア上空を迂回するルートの確保など代替対応の実現に向けて協議を続けているとしている。
サステイナブルな漁業のコンサルティングやPRブランディングを手掛ける株式会社UMITO Partners(東京都渋谷区)は、持続的な漁業を目指し資源管理やDX(デジタルトランスフォーメーション)に励む漁業者の商材を首都圏の飲食店へ紹介している。環境に配慮する漁業者・地域に関心が高い飲食店経営者に要望にあった商材を調達している。
いぶり中央漁協白老地区でスケソ刺網などに従事する木下一志さん(43)は昨年12月25日、白老町内に鮮魚や水産加工品を扱う直営店「一雪・水産」(きみ・すいさん)をオープンした。1月下旬は網に掛かったスケソやソウハチの加工品をお手頃価格で提供したほか、サクラマスやハッカクなど獲れたての鮮魚も販売。白老で獲れる旬の鮮魚を手軽に味わえると評判を呼び、早くも地元客のリピーターを獲得するなど鮮やかなスタートダッシュを飾った。
札幌市の株式会社ダイホク(大場啓二社長、電話011・661・0707)は、焼きのり、昆布など乾物、昆布だし調味料などの製造・OEM(相手先ブランド製造)商品の開発を手掛け、海外にも販路を広げている。特に台湾は直接貿易を確立。ホタテ玉冷など輸出仲介業にも乗り出し、今秋には札幌市に台湾のテレビ局と直接商談ができるオンラインブースを開設。道内食品企業の販路拡大を後押ししていく。
神奈川県三浦市三崎の鮮魚卸・活々水産合同会社(電話046・854・8008)は、前浜産を仕入れた当日に東京都内の飲食店へ配達する「朝どれ鮮魚」に力を入れている。大庭剛社長が三崎市場で一尾一尾精査。欠品のリスクや手間を惜しまず、商材の価値を最大限に引き出す販売に臨んでいる。
東京・豊洲市場の真ツブ消流は国内の引き合いが低迷している。赤潮が発生した北海道太平洋沿岸の水揚げが伸びず、入荷量が乏しく、高値基調が続いているのが影響。コロナ禍が長引き、仲卸業者らは「飲食店からの当日注文は少ない。ヒモ付きでなければ売れない」と異口同音。一方で、上級グレードの荷動きは富裕層が多い香港などアジアへの輸出に傾斜している。
古宇郡漁協神恵内地区の山森漁業部(山森淳代表)は、2月25日に加工製品などを販売するオンラインショップを開設した。サイトではコロナ禍での魚価安を乗り越えようと、漁業の6次化に挑戦した思いなどを披露。淳代表の息子、昴さんと美紀さん夫妻がそれぞれの役割で奮闘しながら、神恵内での新たな漁業スタイルの確立に向けた一歩を刻んだ。
株式会社極洋は2022年春の新商品として、市販用商品9品、業務用商品7品の合計16品を3月1日(一部1月に先行、または4月以降順次)発売する。コロナ禍による自粛生活で、食や健康への意識の変化がみられるなか、「お魚をもっと身近に! もっと楽しく!」をテーマに開発した。旅行気分を味わってもらえるような商品も投入する。市販用で10億円、業務用で3億円の販売目標を掲げている。
大田市場の仲卸・株式会社ハルキ(電話03・5755・9413)は、関東以西と以北へ北海道産の商材を提供している。函館市の本社(株式会社春木商店)と連携し、高鮮度と卸価格の圧縮でリード。同社と取り引きがある東京都の飲食店「北海道海鮮市場がんがん」の三上徹朗さんは「他店と差別化できる商材が多い」と強調する。
札幌市中央卸売市場の荷受・髙橋水産株式会社(髙橋清一郎社長)を中核とするカネシメホールディングスグループは4月1日付で新会社「サポート北海道株式会社」(同)を設立するなど組織改編を行う。新会社は水産業・水産加工業の人手不足・後継者不足の解消に一翼を担うのが目的。生産現場での作業(選別・加工など)の請け負い、市場流通現場での荷降ろし・場内配送、生鮮食料品の1次・2次加工を行う。