オホーツク海沿岸の8月末水揚量は、漁場造成を含め21万3753トンとなった。前年同期比1%減、計画量合計に対する達成率は69%。猿払村、枝幸、沙留、紋別、常呂・佐呂間が昨年の水揚げを上回っている。常呂は3万トンを超えた。歩留まりはピークに達し下がり始めており、8月は北部が10~11%、南部が11~12%。組成は3S主体に4S、5Sの割合が増えている。浜値も頭打ちとなり下降傾向にある。
2024年の北海道の秋サケ定置網漁が開幕した。平成以降最低の来遊予測が示され、漁獲量は4万トン台前半の低水準が続く見通し。競合する海外産もロシア・米国のマスが不振、為替も絡んで高値相場の様相だが、水揚げの回復を見据え、通年の売り場堅守、消流の安定に向けた価格形成が引き続き焦点となる。道漁連の鳥毛康成参事兼販売第二部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
道水産林務部は8月27日、秋サケ資源対策検討会議の第4回会議を開き、各地域の事業体制や海域の特性に応じた環境変動に適応した資源づくりなどを基本方向に検討してきた今後の対応方針をまとめた。検討結果を踏まえ、早期に対応策を具現化し、増殖事業の施策に反映していく。
函館のスルメイカ釣漁は解禁から3カ月が経過したが、船間差が大きく今季も厳しい漁模様で推移している。前浜(津軽海峡)で操業する函館市漁協所属・第五十六昭福丸の若松淳一さんは「7~8月はたまに獲る船もいたが、基本的に漁は極めて薄い」と嘆く。
いぶり中央漁協白老地区でスケソ刺網などに従事する木下一志さんと実姉の盛永梨絵さんが共同運営する白老町の「一雪・水産」(きみ・すいさん、電話070・4465・8298)は、「あなたの台所の専属漁師」をコンセプトに前浜で獲れる旬の鮮魚や干物などの水産加工品を販売している。今年も顧客ニーズを取り入れて「ズワイ甲羅盛り」や「サケの山漬け」をラインアップ。道内外のリピーターをつかんでいる。
道南・黒口浜の天然は、えさん漁協古武井地区で陸側主体にマコンブが繁茂し、7月中心に採取を重ねた。ただその他の地区は総体的に資源量が乏しく今季の操業を見送った浜も多い。古武井地区は7月中旬に解禁。着業者は「7月は7回採れたが資源状況は昨年の方が良かった印象。昨年繁茂していた恵山との境界が薄生いで思うように水揚げを伸ばせず、そこでは2回採取しただけ。5回は別の場所で操業した。濁りで底が見えずに移動、その分だけタイムロスした日もあり漁はいまひとつ」と説明。「電気・油代など諸経費が上昇している中、少しでも多く揚げないと厳しい」と話す。品質については「実が入り、ものは良い。1等も多い。ただ、7月の時点で後採り系もいくらか交じっていた。今までないほど早い」と言う。
枝幸漁協のナマコけた漁は、昨年より2割ほど少ない水揚量で8月前半に終漁した。序盤にシケが増えたため許容漁獲量(ノルマ)に届かない着業者が多かった。なまこ部会(戸田吉和部会長)は乾燥ナマコ(キンコ)に自家加工し10月後半に一括出荷。昨年に単価安となっており今年の設定も注視している。
8月1日に開始した小樽市漁協の仮分散は後半戦に入った。採苗器の付着量は棒網1本当たり1~2万粒。通常より少ないものの計画粒数は確保できそうだ。小型主体のため作業日程がずれ込んでおり、9月前半までかかる見通し。
ひやま漁協瀬棚支所のスルメイカ釣漁は8月28日現在で地元船4隻と瀬棚港を拠点とする外来船9隻が操業。ハシリから漁獲量が伸長し、8月は1箱30尾入れを主体に全体で日量200~700箱を水揚げ。市況は1箱6千~5千円前後を付けている。漁協担当者は「ハシリからある程度漁獲量が伸びている。いまは30尾入れ主体でお盆明けの700箱が一番多かった。外来船はハシリが2~3隻だったが、8月に入り9隻に増加した」と説明する。また、仲買人は「昨年は今年に比べて漁は少なかったが7月から25尾入れも多く型が良かった」と傾向を示す。
神奈川県鎌倉市今泉台の鮮魚店「サカナヤマルカマ」は市内で最も高齢化が進行する郊外住宅街で従来近所に食料品の小売店が存在しなかった買い物先空白地域に昨年4月に開店。以来、「地域がつながるさかなの協同販売所」をコンセプトに、下処理などを徹底し、魚の個性を生かした食べ方を丁寧に伝え、地域住民だけでなく近郊や遠方からリピーターを増やしている。本紙記者が2日間の就業体験取材で、魚食普及の最前線を担う鮮魚店運営の深掘りを試みた。