新ひだか町東静内の老舗鮮魚店・高槻商店を営む株式会社銀鱗(堀田毅一社長、電話0146・44・2433)は、魚の基礎代謝を落として鮮度やうま味に関与する生体エネルギー源・ATP(アデノシン三リン酸)を回復・増強させる活魚蓄養の新技術を導入し、本州を中心に前浜産の販路を広げている。出荷時には魚に電気刺激の脱血処理を施し、魚が持つ価値を最大限引き出して提供。“活き”が長期間保たれ、素材にこだわる料理人の創作心をつかんでいる。
輸出主導の相場高で始まった今年の内販は、コロナ禍による「巣ごもり需要」が続きながらも、量販店では売価設定を上げざるを得ない現状に苦慮している。新物の取扱量を抑えながら、すし種や刺身商材で提案。品ぞろえとして確保するが、品質重視の観点から生玉を強化、メニュー提案型の訴求に力を入れる。札幌、首都圏の消費動向、今後の展開を聞いた。
加工貝の水揚げが一定程度回復した2021年度シーズンの噴火湾は、中国向けの冷凍両貝需要が昨年以上に強まった。このため最盛期の浜値はキロ300円台と堅調に推移。産地では両貝主体の加工にシフトし、ボイル生産は昨年より4割減の4千トン台とみられる。
21年度の原貝水揚量は前年度比18%増の5万6700トン。3季連続で増加した。浜値はキロ200円台で始まり、終盤は300円台に上昇。産地加工業者は「序盤から中国の引き合いが強く、中堅各社はボイル生産を減らし両貝主体にシフトした」と説明。コンテナ不足や中国・大連港のクローズで一時的に止まる場面もあったが、引き合いは最後まで続いた。
東京・豊洲市場の毛ガニ消流は外食・輸出の需要が回復し始め、荷動きが順調だ。また、宮城県産は日建リース工業株式会社(電話03・6739・7039)の活魚輸送コンテナ「魚活ボックス」の導入で鮮度が向上、堅ガニや良型が多いことも重なって、人気がある北海道産と同程度の卸値に上昇している。
食品に関わる事業者は元来、食中毒菌などの付着・増殖、異物混入など人体への危害要因を排除することが責務。食品衛生法の改正で2021年6月から、その危害を分析し防止につながる加熱・冷却・包装などの重要工程を継続的に監視・記録する「HACCP」に沿った衛生管理の導入・運用が完全義務化された。本特集では衛生・品質管理の動向や関連機器・システムなどを紹介する。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会加工部門は、今年も送風式乾燥ナマコの「檜山海参(ヒヤマハイシェン)」やアカモクといった加工品の販売促進に力を入れる。ブランド力が後押しとなり檜山海参は国内外からの引き合いが増加。アカモクは道の駅や物産店といった個人客向けに加え、道外の高級ホテルでも業務用に流通するなど新たなブランド品として存在感を発揮している。
米飯・総菜製造の道内大手・株式会社弁釜(札幌市、山口彰久社長)の旭川新工場(電話0166・36・4622)が21日に稼働を開始した。コンビニエンスストア「セブン─イレブン」向けの既存商品(米飯・調理パン・総菜・軽食)の充実に加え、調理麺の製造体制を整備。共配センター併設による物流効率の向上と併せ、安全・安心、省エネ、CO2削減といったCSR(企業の社会的責任)の実践、環境に配慮した生産活動を推進していく先進システムを導入した。
東京・豊洲市場で散発的だったトキサケの入荷量が7日ごろから増えてきた。高騰していた卸値も落ち着き、これまで取引を控えていた飲食店からの注文が活発化。一方で荷受は「現在の相場は当分維持される。切り身原料として北海道の加工筋の手当てが強く、相場が弱い豊洲は集荷に苦戦している」と明かす。
株式会社帝国データバンク釧路支店が集計した2021年の北海道内水産加工業売上高ランキングによると、釧路市の株式会社マルサ笹谷商店が2年連続で首位の座に着いた。上位100社の売上高合計はホタテの好漁やコロナ禍の巣ごもり需要などで取扱量を伸ばした企業が多く、微増ながら3年ぶりに前年比増となった。道内に本社を置く水産食料品製造企業の21年1~12月期決算を集計。上位100社の売上高合計は4326億2200万円で、前年比3.7%(153億2300万円)増加した。
食品加工の株式会899社シャイン(岩手県大船渡市、桑野祐一社長、電話0192・25・1477)は、未利用資源を使った商品開発に力を入れている。コンブの仮根(ガニアシ)はこれまでほとんど使い道がなかったが、高い栄養価に着目。粉末化して付加価値を与えた。桑野社長は「捨てられていた海藻や魚も見方を変えれば宝。漁業者の所得向上につなげたい」と話す。