釧路市の株式会社カネイチ丸橋(橋川龍一社長、電話0154・65・1405)は今年から新たに生珍味の製造販売に乗り出した。釧路産マイワシの食用利用の拡大で、ニシンとミックスした「いわしとにしんの切り込み」=写真=を開発したのが端緒。サーモンや貝類の素材も加えて商品アイテムを充実している。
北海道の秋サケ定置漁が30日に開幕する。5万トン割れだった昨年比10%増の来遊予測が示され、今年も低水準の漁況見通し。引き続き、水揚げの回復時を見据え、原魚の円滑処理体制や売り場の確保、消流安定への価格形成が焦点となる。道漁連販売第二部の鳥毛康成部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
食肉・水産加工機械の世界的企業・マレル(アイスランド)は、ブリ類用のフィレッティングマシンを日本の生産現場に照準を合わせた高性能機械として開発した。魚体の寸法を自動計測するなど、人による調整が不要となる機能を搭載。日本国内1号機をブリ加工の有力企業が導入、2号機もブリの生産・加工を手掛ける㈲苓南(熊本県天草市、深川英穂社長)が試験的に導入し、歩留まり向上や処理速度向上(1分間に最大25尾処理)などが確認できている。輸出促進の対象魚種であるブリ。高性能処理を施した加工品の世界発信に向け準備を進めている。
函館市のいかめしメーカー・株式会社ヱビスパック(対馬正樹社長、電話0138・45・1359)は、ホタテ、サンマなど従来主力のスルメイカ以外の道産・国産素材を使った商品アイテムを拡充している。今年はコロナ禍で需要が減少した米の消費拡大もコンセプトに「炊き込みご飯の素」=写真=を投入。不漁・高騰を受け、イカ加工品依存からの脱却に挑んでいる。
東京・豊洲市場の北海道産ホッキの消流は引き合いが弱い。主産地・胆振管内が貝毒発生による約1カ月の出荷停止で顧客が離れ、入荷再開も需要が低調のままお盆商戦を迎え販売に苦慮している。
浜値が上昇し、卸値も8月9日時点でキロ1200円と強含み。荷受は「商戦前は北海道産で700円、三陸産で300円台。例年この時期は価格が上がる」と説明。ただ、道産にこだわる仲卸業者は「入荷は再開されたが、現状は高くて仕入れていない」と話す。
元正榮北日本水産株式会社(岩手県大船渡市、古川季宏社長、電話0192・42・3056)は10日、完全陸上養殖で育てたアワビを使った缶詰「箱入りあわび」を発売した。バターソテー風と白ワイン煮味の2種類。洋風の味付けで、なじみが薄い若者世代や女性の取り込みを図る。
東日本大震災で被災した三陸・常磐地域の水産加工業者らの販路開拓を支援する「東北復興水産加工品展示商談会2022」は、対面(リアル)とオンラインのハイブリッド型で展開される。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなるリアル商談会は9月13、14の両日、仙台市青葉区の仙台国際センター展示棟で開催。SDGs(持続可能な開発目標)や簡便化といったテーマごとに出展ブースを設け、商品価値を的確にバイヤーに伝える。
道東沖のマイワシ漁が群れの薄さや餌不足などに起因するサイズの小型化で苦戦を強いられている。棒受網漁で操業する小型船と中型船の拠点港・花咲港の水揚数量が振るわず、漁業者に加え、根室市の水産加工業者も減産傾向を憂慮している。今年はサンマ漁の動向も見通しが立ちにくく、イワシ漁にかかる期待が大きいだけに、着業者は今後の漁模様に望みを託している。
解凍ものでも好評な生さばずし
千葉県旭市の飲食店兼旅館「カントリーハウス海辺里(つべり)」(電話0479・57・3190)の渡邉義美社長が開発した特許技術の冷凍法が隣接する銚子市の飲食店を巻き込んで青魚の付加価値を高めている。カキ殻粉末、香味野菜、塩水を特製の瓶(かめ)で寝かせて作る「熟成塩タレ」を身に浸透させ急速凍結。中小零細企業の商品開発を既存設備で簡単に行えることが強みだ。
もともとはアニサキス対策の冷凍処理の一環で開発。解凍してもドリップが少なく鮮魚のような食感とうま味が感じられる冷凍技術の開発が求められていた。目を付けたのが旭市飯岡地区で水揚げされているイワガキの殻。そのカキ殻を1400度の陶芸窯で高温焼成してできた酸化カルシウム粉末を水に溶かした水酸化カルシウムで抗菌・殺菌する。
熟成塩タレはカキ殻粉末と塩で塩分濃度15%の塩水を作る。そこに香味野菜と昆布を加えて数カ月熟成させて完成する。身にタレを漬けて細胞まで浸透させてからマイナス60度で冷凍。解凍してもドリップが少ないので臭みを抑えてうま味を引き立てられる。
重茂漁協(岩手県宮古市、山崎義広組合長)は7月、新商品「重茂焼うにバター」を市重茂水産体験交流館「えんやぁどっと」限定で発売した。重茂のウニなど原材料は全て県産。素材を生かした濃厚な味わいと、ここでしか手に入らない希少性を武器に、運営する同施設への誘客を狙う。