東京都・豊洲市場のサクラマス消流は、末端の商戦本番を目前に控え、入荷量の少ない青森県産釣物の卸値が高値に付いている。注文分で仕入れている仲卸は「3キロ台は3千~2500円が6日に5500円」と驚く。一方で北海道産の刺網物や底引物で1キロ前後は値ごろ感があり、取り扱う仲卸業者は「販売は良好だ」と自信を見せる。
砂原漁協(三上浩組合長)が砂原漁港敷地内に建設を進めていた新荷捌施設が完成し、3月下旬に業務を開始する。老朽化に伴う建て替えと併せて、品質、安全・安心対策に万全を期した閉鎖型の高度衛生管理施設に進化。活魚水槽の増強、低温管理など鮮度保持機能の強化、荷受業務の効率化なども図っており、新施設を有効活用し、漁獲物の付加価値向上に一層取り組んでいく。
東京都・豊洲市場の活じめアイナメ消流は卸値がキロ2千円前後まで上昇している。活魚が高騰しているのに加えて、シケ絡みで品薄になっているため供給量がタイト。仲卸業者は「大相場が高過ぎる。生食で提供する飲食店からの注文で仕入れているだけ。加熱商材で出す店に納品するのは難しい」と価格変動を注視している。
漬け物やそばの具材などに利用される伝統食品の身欠きニシン。特に日本海・後志管内では水産加工の主力商品の一つだが、近年消費が低迷し、生産量や製造業者も減少している。道総研中央水産試験場は需要拡大に向け、風味改良技術を研究。製造中に増加し、風味に関与する有用菌を特定、人為的に添加することで風味を向上させる製造法を開発した。
イオンリテール株式会社南関東カンパニーは、宮城県石巻市の取引先と連携し、水産品の鮮度向上に向けた新たなバリューチェーンを構築する。10日から、漁獲から店頭販売まで一度も冷凍しない蒸しだこ(ミズダコ)=写真=を関東・山梨エリアの「イオン」「イオンスタイル」125店舗で販売する。震災で途切れた販路の回復と拡大の一端を担う。
マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)協議会(垣添直也会長)と責任ある漁業管理(RFM)認証プログラムのスキームオーナーであるサーティファイド・シーフード・コラボレーティブ(CSC、マーク・フィーナ理事長)は2月28日、東京都内で会見を開き、流通加工段階(CoC)認証規格や審査制度などの相互承認に関する提携に向けた協働作業を進めることを正式に合意したと発表した。両者の協働で、日本発の水産エコラベルであるMEL認証の水産品の北米での販売機会拡大やMELそのものの信頼性アップなどさまざまな有用性に期待が高まる。
加工流通業者や小売店などでつくる大阪昆布商工業協同組合(池上時治郎理事長)は、小学校などで行う食育授業を地道に継続、10年目を迎えた本年度は家庭科教員を対象にした勉強会も初めて実施するなど昆布食文化を伝える活動に広がりを見せている。
白糠漁協の定置漁業者、田森栄輝さんが代表を務める龍宝丸水産は、昨年11月で加工販売に取り組み10年の節目を迎えた。低利用魚の付加価値向上をコンセプトに製品づくりに注力。これまで原料高やコロナ禍による消費減退など困難にも直面したが、その都度ヒット商品を生み出すなどして苦境を打開。田森さんは「10年でやっと形になり向かうべき方向が明確になった」と強調。白糠産の認知度向上や魚食文化の継承も念頭に置き次の10年を見据えている。
青森県青森市に本社を構える鮮魚卸の株式会社さ印さんりく(阿部久会長)は2月以降、岩内郡漁協市場での仕入れを強化している。昨年10月に市場の買参権を取得。底建網で獲れるホッケ、マダラを主体に入札し、同社参入前の前年同期を大きく上回る価格を付ける。ホッケはキロ40円程度と倍以上の高値で仕入れ、本州の顧客先に流通させている。
洗浄機や乾燥機などコンブ関連機器を中心に製作販売する株式会社寺島商会(函館市、寺島達則社長)は今年4月で設立50周年を迎える。漁業者の声を参考に、作業の効率化や負担軽減、利便性などを追求した各種機器は、渡島管内中心に道内一円に普及、コンブ生産の機械化と品質安定化に寄与してきた。昨年10月には板金加工の精度向上を図るためレーザーマシンを導入、新製品開発なども視野に今後も漁業や地域社会に貢献する企業として躍進していく。