海水温の上昇など海洋環境の変化を受け、スルメイカなど天然回遊魚の水揚げが伸び悩む北海道日本海沿岸。安定的で持続的な漁業生産体制の構築を目指し、トラウトサーモン(ニジマス)養殖を推進する動きがひやま漁協管内を中心に活発化している。現状は自治体と漁業者が連携し、試験段階で実施しているが、水揚げ3期目を迎えた八雲町熊石では生産実績を積み重ね、事業化も視野に入れている。さらにせたな町大成区では初水揚げ。生産性や採算性などクリアしなくてはならない課題を抱えているが、道産養殖サーモンのブランド確立による苦境打開への挑戦が拡大している。
飲食店経営や近年では水産業にも参入して力を入れている株式会社SANKO MARKETING FOODS(東京都、長澤成博社長)は17日、東京・豊洲市場の大卸・綜合食品(野中昭三社長)の全株式を取得し子会社化すると発表した。同日開催の取締役会で決議した。市場卸のグループ化で中期事業計画に位置付ける水産事業6次産業化モデルの構築を加速させるとともに、安定的に水産資源を提供する体制を確立。また、豊洲市場を利用する荷主や顧客に対し、グループ独自の価値提案を図っていく。
首都圏を中心に鮮魚専門店を展開する東信水産株式会社は、自社生鮮加工(プロセス)センターの「東信館」に株式会社テクニカンの液体急速凍結機「凍眠」を導入し、冷凍刺身や冷凍すしを開発した。高品質な冷凍加工を施すことで、家庭での解凍後も冷蔵品と遜色のない仕上がりで再現することに成功した。生鮮品では難しかった全国配送も可能となり、自社店舗ではなく、主に外販向けに売り出していく。
加工流通業者や小売店などでつくる大阪昆布商工業協同組合(池上時治郎理事長)は、小学校などで行う食育授業を継続して10年。だしの飲み比べや調理実習などを通し、昆布の普及宣伝と家庭での利用促進に力を入れている。コロナ禍でも感染対策を徹底、地道に昆布文化の魅力発信に努めている。
後志管内や留萌管内といった北海道日本海沿岸のエビかご漁が序盤に壊滅的な漁模様に見舞われた事態を受け、道総研中央水産試験場が余市郡漁協のエビかご船団と連携し、4月中旬と下旬に海底調査を実施した。漁獲減の要因を巡って、日本海の漁業者らは冬場に回遊、大量死したイワシが海底に沈んだため、かごの餌に付かない状況を推察。調査では海底にイワシの死がいを撮影できず、因果関係を特定できなかったが、7月に行われる引網調査の結果などを踏まえ、不漁原因の究明を目指す。
食生活の変化やコロナ禍で需要が落ち込む水産物の消費拡大を図ろうと、冷凍加工の盛信冷凍庫株式会社(宮城県石巻市、臼井泰文社長、電話0225・95・7615)は魚食普及活動に乗り出した。料理教室講師2人と連携し、金華さば(マサバ)などを使ったオンライン料理教室を1月にスタート。石巻の魚と全国の食卓をつなぐ場を目指し、さばき方やおいしく食べるレシピなどを伝授している。
函館市で飲食店3店舗を展開する株式会社菊地商店(函館市、菊地寛社長)は16日、札幌市中央区南6西4の高瀬ビル1階に「函館海鮮料理 海寿(かいじゅ)札幌店」(電話011・252・7310)をオープン。北海道最大の繁華街・札幌市すすきのは初進出。白と赤を基調に洗練された空間の店内=写真上=で新鮮な海の幸を堪能できる。
東京・豊洲市場で北海道産アサリの卸値がキロ1100円と高値で推移している。大型連休中は950~900円で引き合いがあったものの、4桁相場になり、入荷を断念する飲食店も出てきた。荷受は「今年は例年にない高値相場で今後の予想がしにくい。昨年と同じなら中国・韓国への輸出を控えているが、今の高い価格帯でも取引するのかが気掛かり」と懸念する。
昆布森漁協青年部(成田大佐部長)は4月30日、釧路町の自動車販売整備業者「Rステーション」で直売会を実施した。定置などで当日朝に水揚げされた鮮度抜群の魚や養殖カキに加え、昆布や未利用魚の加工品も用意。完売魚種もあるなど好評で、今後の継続開催も視野に入れている。
マルハニチロ株式会社(池見賢社長)の2022年3月期業績は、売上高が前期比7.1%増の8667億200万円、営業利益は47.3%増238億1900万円で増収増益となった。経常利益は52.5%増275億9600万円、当期純利益は193.7%増の168億9800万円で、「マルハニチロ経営統合後、史上最高益」(坂本透常務執行役員)となった。