南かやべ漁協の大定置は、秋サケの水揚げが昨年の3割減と苦戦する一方、ブリ類は2割強の増産で健闘した。小型魚が多く金額は前年割れしているが定置漁業の下支えとなり、同漁協は「水揚げの柱となる魚種」と位置づける。
小樽市の(株)小樽海洋水産(松田亙社長、電話0134・33・6323)が昨夏に販売した「小樽の小鍋」が好評だ。電子レンジ加熱で手軽につくれる一人用の本格海鮮鍋。ライフスタイルの多様化がもたらす簡便調理や個食などのニーズに対応、末端の支持を集めている。
秋サケとトラウトサーモンを使った塩味仕立ての「鮭うしお汁」と「つみれ鍋」がそれぞれ2個入った「4個セット」、道産ベニズワイガニの「かに鍋」、「石狩鍋」と「鮭うしお汁」が各3個の「6個セット」の2セットをそろえた。1個280グラム。食材にもこだわり、秋サケは羅臼産、ベニズワイガニは小樽産が6~7割を占める。
北海道の秋サケは日本海、道東などで終漁する漁場も出て日量が落ちてきている。今季実績は6万トン程度と昨年に続く不漁に変化はないが、渡島噴火湾ではピークを迎える11月中旬にまとまった水揚げを見せた。来遊資源が極端に4年魚に傾斜した中、終漁時期まで後期群の厚い噴火湾や道南で例年以上に伸びるのかが注目される。
北海道の秋サケは、中期までの来遊数が2000万尾に達し、昨年の最終実績(1734万尾)を超えた。ただ、道総研さけます・内水面水産試験場によると、4年魚、5年魚とも漁期前予測を下回る状況。後期の来遊傾向から今シーズンの最終来遊数は前年比3割増の2300万~2400万尾、漁期前予測3137万尾の7割強にとどまる見通しで、3年連続の3000万尾割れとなる。
北海道の秋サケは、水産研究・教育機構北水研が9月末時点で推定した年齢別来遊数によると、2013年級の5年魚が1994年以降で一番少なく、2014年級の4年魚が全体に占める割合は最高となった。また、平均目廻りは1989年以降で最小に低下している。
北海道の秋サケ定置は、10月後半に入って根室海峡、斜網地区を中心に昨年より水揚げが伸びて昨年実績の5万768トンを超え、10月末で5万4500トン。11月漁次第で6万トンも見えてきたが、低水準は変わらず、浜間格差も存在している。
大手食品卸・国分グループの国分北海道株式会社(札幌市)は、オホーツク雄武近海の秋サケを使用した「北海道雄武産鮭缶詰」3種を19日発売する。「北海道」命名150年記念商品として展開。各7200缶の数量限定で道内のみで販売。今年秋限定生産のプレミアム感も演出する。
岩手県の秋サケは北から盛漁期入りの様相だ。久慈の水揚げは昨シーズンより20日ほど早く日産1万尾ペースとなった。宮古など中央部以南はペースアップが遅れている。明暗が分かれた現状で、海況要因を指摘する見方がある。魚体はばらつきがあるが、引き続き小さめが多い。大相場はメスが下げ傾向で900円台前半、オスは300円台後半と堅調を維持。
日本産秋サケの不漁などで昨年来、回転ずしを中心に国内のいくら市場を席巻しているマス子。今季もロシアの漁獲量が約50万トンと好漁となり、商社筋が買い付けに積極姿勢。秋サケの水揚げ不振で商機をにらんで、主産地の加工大手もマス子の製造に新規参入するなど存在感を増している。
北海道の秋サケは2年連続で5~6万トン規模の凶漁となる様相を呈している。今季は浜値も下落し、定置業者を直撃。加工業者も原料確保と価格形成に苦戦を強いられている。消流は価格が空前の高値となった昨年に比べ下方修正で旬の生鮮消費は伸長している一方、売り場を輸入物に奪われたいくらや親の通年商材は高コストの昨年産在庫も足かせとなり、不透明。売り場回復に向け、手探りの商戦が続いている。