記録的な不漁で終盤を迎えた北海道の秋サケ。今季の消流は在庫リスクの回避、サンマ・イカの凶漁に伴う商材確保など産地、消費地の事情が相まって例年以上に生鮮主導となった。今後焦点の冷凍ドレス、いくらなどの製品は供給量が少なく、昨年よりコストも下がった一方、輸入物の価格も下方修正され、先行きは不透明。旬期消費の伸長などの好材料を通年商材の売り場回復につなげられるか、商戦は正念場を迎える。
北海道の秋サケ定置は10月後半から失速し、10月末で4万2380トンと、1978年以来の5万トン割れが濃厚となった。金額も10月20日現在で道連合海区がまとめた漁獲速報によると、前年同期比31%減の247億5046万円と近年最低ペース。400億円台に届かず、2003年の338億円以来16年ぶりに300億円台にとどまる様相を呈している。
北海道の秋サケは20日現在の来遊数が1486万尾と1000万尾台半ばにとどまっている。道総研さけます・内水面水産試験場の年齢査定では前期の来遊実績が5年魚(2014年級)、4年魚(15年級)とも漁期前予測の6割と低調。昨年は4年魚が約8割を占め、中期に一定の伸びを見せたが、今季の4年魚は平年並みの予測。漁期中の約8割が水揚げされる時期を過ぎ、一昨年(1737万尾)同様の2000万尾割れも懸念される。
岩手県の秋サケ漁が厳しい出足のまま、10日までの漁獲尾数は昨年同期の23%となった。序盤の水揚げがまとまる久慈市場は同21%で、要因として高い海水温のほか、3年前の近隣ふ化場の台風被害に伴う放流尾数減少の影響も指摘されている。台風19号の通過で水温が下がり、ようやく水揚げが上向く兆しが見えてきた。今後の盛漁期に向け関係者は巻き返しを願う。
北海道の秋サケ定置は低調なまま盛漁期を過ぎ、一昨年を下回る1978年以来の5万トン割れの可能性も見えてきた。今年は例年3割を占める大所のオホーツク・東部の斜網地区が不振で大きく影響。来遊資源の低迷から脱却が見通せず、秋サケ業界は将来への不安が増している。
北海道の秋サケは10月に入っても水揚げが伸び悩んで一昨年、昨年並みの低水準が続いている。浜値も下方修正され、金額は来遊量が低位となった2010年以降最低ペースで推移している。
オホーツク・西部地区は全道的には伸び悩む中、昨年まで3年連続の減産基調を脱するペースで推移している。ただ、昨年が3割減の大幅減産で、今年も水準は低く、漁場間で明暗も分かれている。一方、浜値が下方修正され、金額の確保は単価の落ち込みを補う水揚げの伸びに委ねられている。
オホーツク海の建マス(カラフトマス)は記録的不漁となった。1999年以降続いていた奇数年豊漁・偶数年不漁の周期が入れ替わって今年は不漁年となるが、主産地・オホーツク管内が9月末現在で1200トン台と、平成以降最低だった一昨年をさらに下回り、昭和50年代の水準に落ち込んでいる。根室管内も昨年の2割と激減、宗谷管内は8割。浜値は昨年並みで、金額も昨年を大きく割り込んでいる。
宮城県北部の秋サケ刺網が不漁の幕開けとなった。漁解禁の25日、南三陸町市場では46隻が1078キロを上場、昨シーズン初日の12%。大半の船が10尾前後のわずかな漁獲にとどまり、来遊が遅れている様子だ。
北海道の秋サケ定置は一昨年、昨年に続いて9月漁は低調。温帯低気圧通過後日量ペースが上がり、盛り返しが注目される。一方、浜値はメスが根室海峡でキロ800円台と高値水準ながら、千円台に上昇した昨年に比べ冷静な価格形成。札幌市の量販店では極度に不振のサンマやイカに上向く兆しが見えない中、秋サケが頼みの綱。10月の盛漁、価格安定に期待をつないでいる。