斜里第一漁協の定置業者・有限会社豊慶漁業部(佐藤唯行代表)は昨年から自船「豊慶丸」で漁獲したサクラマス、ホッケなどの加工販売事業に乗り出している。漁業者ならではの鮮度・品質保持技法「船上活じめ」を施し、徹底した血抜き処理で一夜干しを製造。併せて痩せウニ(エゾバフン)の蓄養・加工も試行。地域・組合・前浜資源の知名度向上や魚食普及、定置経営の安定などを目指す。
水産庁は2日、東日本大震災で被災した東北・関東6県の水産加工業者を対象に、2022年度に実施した復興状況に関するアンケート調査の結果を公表した。売り上げが震災前の8割以上にまで回復した業者は半数にとどまり、前回調査と比べてもほぼ横ばいだった。東京電力福島第一原発事故の影響が色濃く残る福島の回復の遅れが目立つ。原材料や人材の不足が復興の足かせになっていることも分かった。
東京都墨田区の繁華街、錦糸町駅近くの飲み比べの専門店「LITTLE SAKE SQUARE」は、イベントで産直の水産物を使ったすし、天ぷら、鍋などを提供している。5月30日~6月4日は函館の水産業者から仕入れ、初めての北海道フェアを実施。特にえさん漁協のブランドホッケ=写真=が好評。来店客らは「ホッケを刺身で食べられることを知らなかった」と驚いていた。
魚介類を敬遠する理由に上げられる魚臭の低減効果を持つチーズホエイ(チーズ製造時の副産物)。既に活用したサバの一夜干しが商品化されているが、道総研食品加工研究センターは同時に指摘される「ふっくら感」を解析。ホエイの浸漬処理でサバの一夜干しの食感を向上させる加工条件を確立した。道内の食品企業に情報提供し、商品化に向けた技術支援を進めていく。
定置網などに入ってもサイズが小さ過ぎたり、なじみがなかったりなど需要が乏しく、流通に乗らない、また価格評価が低い「未・低利用魚」。命や経費をかけて沖に出る漁業者の思いを組んで有効活用の仕組みづくりが函館市で芽生えている。コロナ禍の苦境打開への模索も相まって異業種が呼応。食習慣の形成や漁獲魚種の変化に対応した商品開発など新たな水産物流通の創造に知恵を絞っている。
株式会社阿部長商店(宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)は、国産の小サバを原料に活用した「大船渡港町のととバーグ」を発売した。肉のハンバーグに比べ、カロリーや脂質は半分以下。ジューシーな食感を楽しみながら、1日に必要なオメガ3脂肪酸を摂取できる健康志向の総菜として訴求する。自宅で手軽にプロの味を楽しめる「ビストロ三陸」シリーズの第2弾として企画。味はデミグラスソースとてりやきソースの2種類を用意した。ととは幼児語で「おさかな」。同社は「肉のような食感が味わえるハンバーグ。子どもから高齢者まで幅広い世代にぜひ味わってもらいたい」とPRする。
水産加工の株式会社マルシュウフーズ(宮城県石巻市、吉田秀樹社長)は宮城県産養殖ホヤの販売を強化している。岩手県産を含め、今季の取扱見込み量は殻付きの原料ベースで1600トン。国内一の規模を誇る。手軽さを意識した製品や売り場で人目を引くパッケージを新たに投入。卸値を極力安くするため配送に自社便を使うなどコスト削減にも努め、国内消費が伸び悩む現状を打破する。
大阪市の株式会社小倉屋山本(山本博史社長、電話06・6243・0011)はこのほど、新商品「ぱぱっとこんぶ」を発売した。「はぴねす乳酸菌Ⓡ」(森永乳業株式会社の登録商標)を配合した塩吹き昆布で、昆布に含まれる豊富な食物繊維と併せて「簡単においしく腸内環境を整える」ことをコンセプトに開発。ご飯にふりかけたり、料理の味付けやサラダのドレッシング代わりにもなるなど料理で幅広く活用できる。
ホタテの新物商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(根田俊昭会長)主催の第29回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が23日、京王プラザホテル札幌で4年ぶりに開催された。昨年並みの供給量が見込まれる冷凍ボイルは玉冷やベビーの製品高を背景に順調な消化が期待される一方、玉冷は米国の景気後退に加え福島第一原発処理水放出後の輸出環境に不安感が強く、内販強化を見据えた価格修正を望む意見が示された。
東京都・豊洲市場の北海道産活じめヒラメ消流は卸値がキロ千円以下と値ごろ感が強い。仲卸業者は「安く入荷でき、拡販しやすい。量販、飲食など引き合いは十分ある」と商機を強調。組成は2キロ前後が主体。サイズが近い千葉県産も入荷がまとまっているため、両者を比較しながら商材を決めている。