東京都・豊洲市場のヤリイカ消流は2月に入って高騰していた卸値が崩れ始めた。青森県中心の集荷で形成された大相場が、他県産の入荷が増えたため供給過多に転じた。加えて年明けの飲食店需要は例年通りに引き合いが落ちている。一方、値ごろ感が出てきたことで、量販店が季節商材として販売強化に動き出している。荷受は「卸値は3キロ箱10尾がキロ1500円。1月の約2千円からここ1週間で400~500円ほど落ち込んだ」と相場変動を説明。産地が岩手県、福島県、茨城県、石川県などに広がり、入荷量が増加。また、バラサイズは800~700円で推移している。
環境意識の高い漁業者を中心とする有志団体「ブルーフォーラム」は4月から大手量販店に鮮魚を供給する。持続的な漁業を目指す同団体の参加者が適正価格で販売できるサプライチェーンの構築を進めている。同団体は漁業者の収入安定化で持続的な漁業の確立を目指している。会員数は2月1日時点で360人ほど。水揚げ金額や資源の減少に対応する独自の流通網を広げるため、団体事務局が複数の企業との交渉を重ねている。その結果、漁協、配送業者、水産会社、ⅠT会社などの協力を得ながら着実に消費者と漁業者との距離を縮めている。
急速冷凍「プロトン凍結」で知られる株式会社菱豊フリーズシステムズのグループ会社・株式会社新鮮ネットワークは1日、冷凍食品専門のECサイト「EMM(EveryMealMarket)」を開設した。全国から厳選した和食や洋食、中華、ヴィーガンメニューなど取りそろえる。冷凍技術を軸に食材の調達から開発、生産に加え、自らオンライン販売に乗り出すことで、より優れた冷凍食品を直接食卓へ届けていきたいとしている。オープン当初扱う商品は7カテゴリー24種類。7種の海鮮具材を使用したちらしずしやブリの西京焼きと幽庵焼きを盛り込んだご飯などの「ワッパ弁当」シリーズ、白身魚や鶏肉を具材にした「カルツォーネ」シリーズ、オマールエビのグラタン、ホタテのピラフなどをラインアップ。じゃがいもやかぼちゃをポタージュにしたヴィーガン(完全菜食主義者)向け商品もあり、カルツォーネと合わせたヴィーガンセットとしても売り出す。
財務省の通関統計によると、2022年の食用干し昆布の輸出数量は前年比2%増の474トンとなった。道東産主体に流通し、輸出数量全体の半数以上を占める主力の台湾は若干減少した。全体数量は2009、10年と2年連続で600トンだったが11年以降は400~500トン台で推移している。キロ平均単価は上昇傾向にあり、22年は前年比4%高の2082円と2年連続で2千円台に達した。
近年、増加傾向にある北海道産のマフグを全国に売り込む画期的なプロジェクトが始まった。原料を提供する湧別漁協、それを加工するまるみ水産グループ・の印大吉水産(札幌市)、企画・販売に携わる株式会社感動いちば(札幌市)の3者が連携し、道産原料で道内加工・販売にこだわった「真ふぐ一夜干し」が誕生。オール北海道で商品化した付加価値を武器に、関係者一同、「多くの方に感動を届けたい」と意気込む。25日からクラウドファンディング(CF)で先行受付を開始した。
株式会社ニッスイは24日、2023年春・夏の新商品を発表した。「お客さまの多様化するニーズに寄り添い、食でWellness Lifeの実現に貢献します」をコンセプトに、「Healthy」「Smart」「Satisfaction」をテーマにした新商品43品、リニューアル品19品を開発した。一部商品を除き3月1日発売する。
東京都・豊洲市場で1月中旬から道南産のサクラマスの入荷が始まった。例年よりも早く、仲卸業者は「近年は漁期が早まっていると感じていたが、それでも今年は早い」と驚く。ただ、1月は鮮魚の引き合いが弱く、「釣り物でサイズも大きいが卸値は安い」と明かす。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会の加工部門(日沼賢澄部門長)は延縄で漁獲される高鮮度の前浜産スケソを活用し、たらこ製品の製作に取り組んでいく。スケ子の歩留まりが向上した1月10日を皮切りに開始。しょうゆ漬けのバラ子は地元向けに販売している。加工作業には乙部町内の農家も参加し、1次産業同士のコラボレーションも実現するなど活動の輪が広がりを見せている。日沼部門長は「作り込んだたらこは3カ月程度冷凍すると、味わいが良くなる」と説明。加えて、春ごろにも明太子などを本格的に売り出す。延縄で獲れたスケソの卵を使ったたらこ製品は数年前まで、ひやま漁協が自営加工で製造し、「紅乙女(べにおとめ)」のブランド名で販売。釣りの塩たらことして地元住民を中心に支持を集めた経緯がある。
漁獲から加工・販売まで手掛けるせたな町の有限会社マーレ旭丸(西田たかお社長、電話0137・87・3455)は、日本海で厳寒期に水揚げするアカシマエビの風味を閉じ込めた食べるラー油の新バーション「北海道えごま油と焙煎海老 漁師のラー油」=写真右=を打ち出した。先発商品に使用のごま油に北海道産のえごま油と米油も加え、より健康志向に訴求。オンラインショップや出店する全国各地の物産展などで売り込んでいる。
一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は昨年も「子ども食堂」と連携した道産水産物の魚食普及事業に取り組んだ。ホッケ・タコを使った食育用のレシピやパンフレットを作成し、道内162カ所に配布。旭川市近郊の3カ所ではレシピを活用した持ち帰り弁当の製作・提供でコロナ禍に対応した食育を実施。「家庭での魚利用のリピーターづくり」などの手応えを得ている。