円安や世界的な需要の高まりを背景に、サケ・マス相場が高値傾向で推移しているが、チリ産ギンザケ(冷凍ドレス)の内販価格は軟調に転じている。2022年シーズンのチリギンの国内搬入量は8万2千トンほどと例年に比べて少なかったが、「今年は増える見込み」(商社筋)との見通しで新物シーズンを迎えている。
第25回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が23~25日、東京ビッグサイトで開催される。前年を上回る1267小間は、出展者数・小間数ともにコロナ禍前に迫る規模。来場者数2万5千人を目標とし、コロナ禍からの水産業界の脱却となる機会とする。
函館市の株式会社誉食品(熊谷輝彦社長、電話0138・86・9291)は、噴火湾産ベビーホタテを使用した「ほたて松前漬」のプラスチック容器入りタイプを新たに打ち出した=写真。看板商品の松前漬で、需要が回復してきた土産品や、ギフト向けの単品・セット商品を充実し、販売拡大に臨んでいる。
東京都・豊洲市場の北海道産カスべ消流は、台風などの影響で東京湾や九州などの水揚げが魚種全般的に低調となり、飲食店などからスポット的にから揚げ商材の需要が出ている。卸値はキロ千円と普段通り。1箱6キロで4~5個が多い。仲卸業者は「この2カ月で4~5回しか売り場で見ていないので、入荷量はそれほど多くない」と話す。
道東沖のマイワシ棒受網漁は、近年同様にサイズの小型化に見舞われている。拠点港の花咲港で荷揚げする中型船(50トン未満)の漁労長は「日量は例年並みだが、最近はサイズが小さくなった」と資源動向を注視。根室の水産会社は「年々サイズが小ぶりになっている。生鮮出荷はもちろん、加工向けにも扱いにくい」と嘆き、商戦展開に苦慮している。
首都圏・小売りのマイワシ商戦は近年、訴求に力を入れていた道東産の売り込みが小型化などで苦戦している。東京都や神奈川県中心に展開する量販店では、2010年代の後半数年にわたって6月下旬に道東マイワシの販促フェアを展開してきたが、以降の年は期間中に漁がまとまらず、実施を断念している。近海産と比較して身が太り、脂質も多いのが道東産の訴求ポイントだった。首都圏の消費者にも充分なインパクトを与え、好評を得ていたが、バイヤーは「ここ数年は小ぶりが続いている。今年も小ぶりで脂質も少なく、生鮮向けではない。かつてほどの魚体に戻ってほしい」と願っている。
サンマ商戦も水揚げが不安定のため、売り場作りや収益確保に苦労が続いている。多くの店舗が昨年も充分な量販や販促ができず、消費者の購買意欲を高められないまま季節の商材には程遠い状態でシーズンが終了。秋の味覚の“主役”不在が久しく続き、各社のバイヤーは消費離れに危機感を募らせている。首都圏全般に展開している大手量販店では、「昨年も水揚げが単発で本格的に売り出せたのは9月に入ってから。ただ、期間を通してサイズ、脂質ともに魅力を欠いた魚体だったため、見せ場を作れぬまま商戦は終了した」と説明する。
道総研釧路水産試験場は、道東沖で棒受網漁などの中・小型漁船が水揚げするマイワシの高鮮度流通モデルを確立した。漁獲から消費地まで一貫して魚体温度を凍結点(マイナス1.3度)付近に保冷管理するのが要点。その起点となる沖から陸揚げまで船倉内の温度管理では漁獲量に応じ、氷の必要量の目安が分かる計算式も開発した。実証試験では漁獲から3日後でもK値(ATPの分解の割合)を10%以下の高鮮度に保持。技術マニュアルを作成し、漁業者、漁協などに普及を進めていく。
今年の秋サケ商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)主催の全国大手荷受・荷主取引懇談会が1日、札幌市の京王プラザホテル札幌で開かれた。商社から競合する輸入鮭鱒の生産・搬入動向について情報提供を得て消流安定策を意見交換。増産予想、在庫残存などの状況変化も見据え、売り場回復・拡大に向け、需給バランスを踏まえた価格形成、産地と消費地の情報共有による拡販体制などが必須に挙げられた。
梱包や包装の世界的企業であるモスカ(ドイツ)の日本法人のモスカ・ジャパン株式会社は、水産品の梱包・出荷用として、超音波技術によるバンド掛け機を提案している。作業効率や安全性、環境配慮などさまざまな機能面で、従来の熱で接着するタイプと比較して優位性を訴求する。同社はこのほど営業技術のスタッフを増員。今後も増員を計画しており、日本の水産現場に向けて普及を促進させる。